[ニューヨーク 14日 ロイター] - 米銀大手のJPモルガン・チェース (N:JPM)とウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ) (N:WFC)が発表した決算では、明らかに悲観的な見通しが示された。
投資家は、新型コロナウイルスの影響による景気後退がどの程度深刻になり、経済の正常化にどれだけ時間がかかるかについて手掛かりを求めていた。
両行とも第1・四半期決算は主に貸倒引当金が重しとなって利益が大幅に減少。幹部らは、状況は今後さらに悪化するとの見方を示した。[nL3N2C23NU][nL3N2C23NU]
Wファーゴのチャールズ・シャーフ最高経営責任者(CEO)は「現時点では上振れリスクより下振れリスクのほうが強い」との見方を示した。
同行のシュルーズベリー最高財務責任者(CFO)はアナリストの電話会見で、米国では2021年にかけて失業が高止まりし、国内総生産(GDP)が横ばいになるとの予測を示した。
JPモルガンの幹部は様々なシナリオの説明に多くの時間を費やしたが、どれも楽観的な内容とは言えなかった。
同行のエコノミストは第2・四半期に米GDPが年率換算で40%減少し、失業率は20%に上昇する可能性があると予測している。ジェイミー・ダイモンCEOは、最悪のシナリオで第2・四半期にGDPが最大35%減少し、失業率はその後に14%のピークに達するとの見通しを示した。
両行はいずれも、景気が悪化すれば今後の四半期決算で貸倒引当金が大幅に増加する可能性があると指摘。個人・企業に対する政府の経済対策の効果が引当金の規模を左右する要因の1つになるとした。
JPモルガンは、デフォルト(債務不履行)の大幅な増加はまだ見られないとしながらも、消費者向け融資の貸倒引当金を44億ドル増やした。消費者向け融資の純貸倒損失は13億ドルと前年同期から横ばいだったことから、貸倒損失が今後大幅に膨らむと想定していることがうかがわれる。
同行のピープサックCFOは「ストレスはまだ表れていない」と述べた。
JPモルガンの第1・四半期決算は、貸倒引当金の増加に加え、主要4部門のうち3部門で減収となったことが響いて利益が約69%落ち込んだ。
Wファーゴは将来の貸し倒れに備えて31億ドルを引き当て、保有資産について9億5000万ドルの減損を計上したほか、3部門の収入が9─19%減少したことを受け、1株利益が0.01ドルにとどまった。
今週はこのほかバンク・オブ・アメリカ(バンカメ) (N:BAC)、シティグループ (N:C)、ゴールドマン・サックス・グループ (N:GS)が15日に、モルガン・スタンレー (N:MS)が16日に決算を発表する。主要地銀は向こう1、2週間に決算発表を行う。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ジェラード・キャシディー氏は、新型コロナによる景気低迷は4月をピークにその後改善するとの期待があるものの、大恐慌以来の経済縮小がすでに予測されており、状況は予想以上に悪化する可能性があるとみる。「第2・四半期の景気低迷の深刻さを懸念している。これが不確実要素だ」と述べた。
*内容を追加しました。