[東京 21日 ロイター] - 日銀は21日、金融システムの現状と安定確保への課題をまとめた「金融システムリポート」で、新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済に強い下押し圧力がかかる中で、金融システムは強いストレスを受けているものの、「全体として安定性を維持している」と総括した。
ただ、低金利が持続する中で、金融機関が相対的に高い利回りを求めて景気悪化に脆弱な企業に融資してきたことなどにより、実体経済の大幅な落ち込みが長期化すると「実体経済・金融の相乗的な悪化」につながる可能性があると警鐘を鳴らした。
日銀は⾦融機関について、資本・流動性の両⾯で相応に強いストレス耐性を備えていると指摘。金融システムにストレスがかかっているものの、「過去のバブル崩壊とは性質が大きく異なっている」とした。
しかし、日銀は新型コロナの感染拡大の展開や実体経済の下押し圧力の強さ、持続期間を巡る不確実性は極めて大きいと指摘。今後注視すべきポイントとして、1)国内外の景気悪化に伴う信用コストの上昇、2)金融市場の大幅な調整による有価証券投資関連損益の大幅な悪化、3)外貨調達の不安定化――の3点を挙げた。
日銀は、金融機関に対して今回のショックで生じる経済・企業活動への変化を含め、人口減少など構造問題への対応が必要だと指摘した。
(和田崇彦 編集:高木匠)