[ワシントン/ニューヨーク 25日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は25日、大手銀行を対象としたストレステスト(健全性審査)の結果を公表した。今回は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による影響についても分析を行い、少なくとも第3・四半期まで配当支払いを制限し、自社株買いも禁じる方針を明らかにした。
FRBは、大手行が前例のない景気の落ち込みやそれに伴う支援プログラムへの対応に苦慮しており、今後の経済動向や銀行の業績を巡ってもすでに未曽有の不透明感が漂っていると指摘した。
パンデミックに関連した分析では各行個別の結果を公表していないが、最も厳しい「W字型」回復シナリオの下では、審査対象34行が最大で7000億ドル相当の貸倒損失を被る恐れがあると警告した。
分析結果では、長期にわたる深刻な景気低迷に銀行が耐えられることが示されたが、一部の銀行は自己資本の最低水準ぎりぎりになるとした。
最も厳しいシナリオで、銀行の自己資本比率は全体としては7.7%への低下にとどまるが、十分な資本を持つと見なされる最低水準の4.5%にかなり近付く銀行もあるという。
この点を踏まえ、FRBは第3・四半期の配当支払いに上限を設定すると表明。第2・四半期の配当支払額や過去4四半期の純利益の平均を超えない水準とするよう求めた。
FRBは自社株買いについても、第3・四半期の実施を禁止した。大手行は第2・四半期に自主的に自社株買いを停止している。
FRBは、銀行を名指しせずに、一部の銀行は適切な見通しよりも楽観度合いの高い見通しに依存しており、資本計画が「綿密ではない」と指摘した。
各行はコメントを控えたか、現時点で取材に応じていない。
JPモルガン・チェース (N:JPM)、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ) (N:BAC)、シティグループ (N:C)、ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ) (N:WFC)、ゴールドマン・サックス (N:GS)などの金融株は米株市場引け後の時間外取引で下落した。
米大手行の業界団体、ファイナンシャル・サービシズ・フォーラムは、ストレステストの結果は業界の強さを示していると表明。経済を支援するために銀行が講じてきた対策を強調し、FRBに審査プロセスの透明性を求めた。
各行は25日、個別に自行の結果を受け取った。各行は評価を改善するため当初の計画を調整することが可能で、29日の引け後に詳細を公表する。
アナリストや投資家はFRBの規制について、サプライズだったものの、必ずしも悪いことではないとみている。銀行は自社株買いは自主的に停止しているが、配当支払いの制限にはより慎重な姿勢を示していた。FRBの措置により、銀行は注意を払わなければならなくなるだろう。
スミード・キャピタル・マネジメントのビル・スミード最高投資責任者(CIO)は「投資先の長期的な存続性を確保するためなら少し制限される価値はある」と述べた。同社のファンドはJPモルガン、バンカメ、Wファーゴに投資している。
*内容を追加しました。