[シドニー 23日 ロイター] - オーストラリアのフライデンバーグ財務相は23日、今年度の財政収支が新型コロナウイルスのパンデミックを受けた大規模な財政出動の影響で第2次世界大戦後、最大の赤字になるとの見通しを示した。
2019/20年度(19年7月─20年6月)の財政収支は、858億豪ドル(613億米ドル)の赤字。当初は黒字を予想していた。
今20/21年度は赤字が1845億豪ドルに拡大し、国内総生産(GDP)に対する比率が、第2次世界大戦以降で最高になる見通し。
豪政府は3月、感染防止の為の社会的距離などの規制を実施するとともに国内総生産(GDP)の14.6%に相当する規模の経済対策を発表した。
フライデンバーグ財務相は「この必要かつ前例のない規模の経済支援と税収の減少が財政に多大な影響を与えた」と述べた。
政府の強力なてこ入れにもかかわらず、4─6月の実質GDPは7%減少し、1991年以来、30年ぶりに景気後退に陥る見込みとなっている。
フライデンバーグ財務相は「この厳しい数字は、われわれが直面する厳しい現実を反映している」と記者団に述べた。
感染防止のための規制が5月下旬から緩和され始め、経済活動が再開する兆しがみられる。しかし、ビクトリア州では感染が再び拡大し規制が再導入されており、景気回復が軌道に乗るのはまだ先になりそうだ。
「ビクトリア州の最近の状況は、ウイルスとの戦いにおける後退が景気回復の速度や軌道にいかに影響するかを痛いほど認識させる」とフライデンバーグ財務相は述べた。
同相は、6月に7.4%と22年ぶりの高水準を記録した失業率が第4・四半期に9.25%前後まで上昇し、2021年に入っても高止まりすると予想した。
純債務は6月末時点で4882億豪ドル、GDP比24.6%で、2021年半ばまでに6771億豪ドル、GDP比35.7%に拡大する見通し。
豪政府の財政悪化見通しを受け、大手格付け会社S&Pグローバル・レーティングは声明で、豪の最上級格付けに影響は与えないとの見込みを示した。
S&Pは4月に豪格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げている。
23日の声明で「新型コロナの感染第2波が豪の他の地域でも起こる可能性があるが、(ビクトリア州以外の)他の州はこれまでのところ感染防止で効果をあげている」と指摘した。