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米ファイザーのコロナワクチン「9割超に効果」、近く緊急使用申請

発行済 2020-11-09 23:05
更新済 2020-11-10 10:28
© Reuters. 米ファイザーのコロナワクチン、9割超に効果 近く緊急使用申請

[9日 ロイター] - 米製薬大手ファイザー (N:PFE)は9日、独バイオ医薬ベンチャーのビオンテック (O:BNTX)と共同開発する新型コロナウイルス感染症ワクチンの臨床試験(治験)で感染を防ぐ有効率が90%を超えたと発表した。

発表によると、現時点で安全性を巡る重大な懸念はなく、今月中にもワクチンの緊急使用に関する米当局の承認を求める見通しという。

ファイザーのブーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は「感染率が過去最高に達し、病院が対応能力の限界に近づき、経済再開も難しく、世界が最もワクチンを必要としている今、ワクチン開発プログラムにおいて重大な節目に達した」と述べた。

ビオンテックのサヒンCEOはロイターに対し、ワクチンの免疫効果は1年間持続するとの楽観的な見方を示したが、まだ確実ではないとした。

アザー米厚生長官はFOXニュースに対し、規制当局がファイザーから治験データを受け取り、データを検証する作業には数週間かかるだろうと述べた。

ファイザーとビオンテックが開発するワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)技術に基づくもの。遺伝子を人工的に合成するため、短期間で大量のワクチンを製造できる利点がある。

ファイザーは、治験参加者のうち94人が新型ウイルス感染症(COVID-19)を発症した時点で有効性を巡る中間分析を実施した。このうち何人がワクチンの接種を受けていたかは明らかにしていない。治験では約3週間の間を空けてワクチンが2回接種された。

米食品医薬品局(FDA)は、新型ウイルス感染症ワクチンの承認には有効率が50%を大きく上回る必要があるとしている。

ファイザーは有効性をさらに確認するために、164人の感染が確認されるまで治験を継続する。ファイザーのブーラCEOはCNBCに対し、治験は11月中に終了する可能性があると述べた。

今回発表されたデータは、査読(ピアレビュー)を受けていないほか、医学誌にも掲載されていない。ファイザーは治験全体の結果が判明した後に論文を発表するとしている。

ハンブルグエッペンドルフ大学のマリリン・アド氏は「興味深い結果だが、報道発表でしかない。基礎的なデータはまだ発表されておらず、査読を受けた論文も未発表だ。最終判断を下すにはさらなる情報が必要だ」と述べた。

一方、バンダービルト大学の感染症専門家、ウィリアム・シャフナー氏は「多くの人が予想していた以上の素晴らしい結果だ」と指摘。「治験はまだ終了していないが、データは非常に堅実なようだ」と述べた。

発表を受け、S&P500先物が過去最高値を更新。欧州市場では航空各社の株価が上昇した。米株式市場午前の取引でファイザーは8.2%高の39.38ドル。モデルナやジョンソン・エンドジョンソン(J&J) (N:JNJ)などワクチンを開発する他の製薬会社の株価も上昇している。

ファイザーは16歳から85歳までの感染者に対するワクチンの緊急使用に向け米当局に承認を求める見通し。そのためには治験参加者4万4000人の約半数からの安全性に関する2カ月間のデータが必要という。

ファイザーとビオンテックは米政府と19億5000万ドルの契約を締結しており、今年から1億回分のワクチンを供給する。また、欧州連合(EU)、英国、カナダ、日本とも供給契約を結んでいる。

すでにワクチン製造に着手しており、年内に最大5000万回分(2500万人分)が製造される見込み。21年には最大13億回分のワクチンを製造するという。

ファイザーの発表を受け、トランプ米大統領は「株価は大きく上昇している。ワクチンは近く実用化される。有効率は90%だ。素晴らしいニュースだ!」とツイッターに投稿。米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領は、ファイザーの発表を歓迎するとしながらも、マスク着用やソーシャル・ディスタンス(物理的距離)の確保などの感染拡大抑制策は来年に入っても必要との考えを示した。

英政府報道官は、規制当局が承認すれば、ファイザーとビオンテックが開発するワクチン1000万回分が年末までに用意できると予想。ドイツ保健相は、ファイザーの発表には勇気づけられるとしながらも、ワクチンが用意できるのは2021年第1・四半期以降になるとの考えを示した。

世界保健機関(WHO)幹部のブルース・エイルワード氏はファイザーの発表について、「われわれが前進する中で、全世界に大きな可能性を秘めた非常にポジティブな結果だ」と評価する一方、「中間結果で、やるべきことはまだ多い」と述べた。

また、このニュースを受け、来年第1・四半期後半から第2・四半期初めに高リスクの人々にワクチン投与できる準備が整いつつあると期待を示したが、45億ドルの資金不足により低・中所得国での検査、医薬品、ワクチンの提供が遅れる恐れがあるとも述べた。

*内容を追加しました。

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