[ブラジリア 15日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)の米州事務局である汎米保健機構(PAHO)は15日、新型コロナウイルスワクチンを接種する成人が増える一方、大半の国ではまだ接種が認められない子どもと若者の入院患者の割合が増え、死亡例も報告されていると警告した。
PAHOは1─9月に米州での子どもと青年の感染者が190万人を超えたとし、この年齢層が大きな健康上のリスクに直面していると訴えた。
専門家らは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で対面授業ができなくなったことが同地域において過去最悪の教育危機を引き起こしていると指摘する。
PAHOによると、米州の半数以上の国々ではパンデミックの影響で産婦人科などの医療サービスが混乱し、10代の妊娠がこの10年で最大規模の増加となった。
PAHOのエティエンヌ事務局長はさらに、ロックダウン(都市封鎖)や経済的混乱で家庭内暴力の恐れが広がり、多くの子どもにとって家庭が安全な場所でなくなっているようだとの懸念を表明した。
PAHOのバルボサ副事務局長によると、これまで青年向けにWHOが承認しているのは米ファイザー製ワクチンのみで、米モデルナは12─15歳を対象にワクチンの緊急使用の承認を申請中。中国のシノバック・バイオテック(科興控股生物化学)とシノファーム(中国医薬集団)も未成年と3─17歳への利用の承認を求めている。
バルボサ氏は、チリやキューバを含む一部の国はWHOの承認を待たずに子どもと若者への接種を開始していると説明した。キューバは12月までに人口の90%以上に接種する目標を掲げ、今月若者への接種を開始。今週は2─10歳の子どもへの接種を始め、6歳未満に集団接種を実施する世界で最初の国となる。