[8日 ロイター] - 米製薬大手ファイザーは8日、新型コロナウイルスワクチンと経口治療薬の2022年売上高が540億ドル強に達するという見通しを示した。ただ、市場の強気予想には届かず、株価は2.8%下落して終了した。
新型コロナ経口薬「パクスロビド」の通年売上高見通しは220億ドルで、市場予想の228億8000万ドルを下回った。
アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け電話会見で、この見通しは契約済みあるいは契約がまとまりそうな分しか含まれていないため、最終的な売上高は見通しより「かなり大きい」可能性があると指摘した。
通年の売上高見通しは「われわれが(年内の)生産を計画している治療1億2000万コース分のほんの一部でしかない」と説明した。
同社は米政府にパクスロビドを治療2000万コース分供給する計画で、1コース当たりの価格は約530ドル。ブーラ氏は、受注規模が大きいため、特別価格を設定したが、大半の高所得国には米製薬大手・メルクの経口治療薬「モルヌピラビル」と大体同じような価格で販売すると述べた。
米政府は、モルヌピラビルを1コース当たり約700ドルで調達している。
ファイザーの幹部らによると、同社は100カ国以上とパクスロビドの販売に向け活発な協議を行っており、必要ならば1億2000万コース分以上を製造する能力を有しているという。
ファイザーは、独ビオンテックと共同開発するワクチンの通年売上高見通しを320億ドルとした。21年の実績を13%下回る水準。同社は、最終的な売り上げが見通しを上回ることはないかもしれないとの見方を示した。
リフィニティブのデータによると、アナリスト予想は337億9000万ドルだった。
全体の通年売上高見通しは980億─1020億ドルとし、アナリスト予想の1054億8000万ドルを下回った。
ブライト・トレーディングのトレーダー、デニス・ディック氏は「ファイザーにとって現時点で先行きの見通しを示すことは、過去の実績を振り返るほど良いことではないようだ。まずまずの発表内容だったが、(株価が)下落しているのはそのためだ」と述べた。
ファイザーのアーミール・マリク最高ビジネスイノベーション責任者は、今後について「買収は十分想定される」と指摘した。
同社はまた、次世代型パクスロビドの開発に向け取り組みを開始したと明らかにした。