[ニューヨーク 4日 ロイター] - 世界銀行は4日発表の中南米・カリブ海諸国報告書で、コロナ禍による教育や健康への影響が長期化する恐れがあるとし、適切な社会やインフラ投資を経済成長のけん引役にするよう呼びかけた。
報告書はコロナ禍で教育の機会が長年失われたり、ワクチン接種が進んでいなかったり、食料不安の影響が遅れて現れるといった社会損失が地域の経済回復の妨げになると指摘。エネルギー補助金や効果のない公的支出を減らし、貧困世帯へのエネルギーなどの移転を増やすことで、適切な投資プロジェクトの幾つかに資金が充てられるようになるとした。エネルギー移転などの設計改善により政府支出は約17%節減できると主張した。
税制を簡素化し、課税対象を広げることで、より効率的に税収増が見込めるとも提言。地域の徴税率が比較的低い点を指摘し、税率を下げた上で徴税履行を改善する必要も訴えた。
世銀によると、地域のほとんどでは国内総生産(GDP)がコロナ禍前の2019年水準に回復したが、回復はまだ不十分。ウクライナ情勢の影響やインフレ圧力長期化、先進諸国の利上げも足を引っ張る要因とした。今年の地域の成長率予測は3%とする一方、来年には1.6%に鈍化すると警告した。