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焦点:長引くコロナ後遺症、依存症用薬が効果か 米で本格治験

発行済 2022-10-24 07:18
更新済 2022-10-24 07:28
© Reuters.  10月18日、米運輸省で働くローレン・ニコルズさん(写真)は、2020年春に新型コロナウイルス感染症を患って以来、思考力と集中力の低下や、倦怠感、けいれん、頭痛、身体の

Julie Steenhuysen

[シカゴ 18日 ロイター] - 米運輸省の物流専門家として働くローレン・ニコルズさん(34)。ボストン在住の彼女は、2020年春に新型コロナウイルス感染症を患って以来、思考力と集中力の低下や、倦怠感、けいれん、頭痛、身体の痛みといった後遺症に悩まされてきた。

昨年6月、ニコルズさんの担当医は低用量のナルトレキソンを服用することを勧めた。ナルトレキソンは、アルコールや医療用麻薬鎮痛剤オピオイドへの依存症治療に使われるジェネリック(後発)医薬品だ。

2年以上「濃霧の中で」生きてきたようだというニコルズさんは、投薬を受けて「やっと明瞭に物事を考えられるようになった」という。

新型コロナ感染から数カ月経っても、身体の痛みや倦怠感、頭の動きの鈍さといった後遺症に悩まされる患者は数百万人いるとされる。こうしたロング・コビッド(Long COVID)とも呼ばれる症状の治療法を探す研究者らは、ナルトレキソンが他の多数の患者にも同様に効果を発揮するかに注目している。

同薬は、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)という、ロング・コビッドに似た複雑な感染後症候群の治療で、一定の効果を発揮してきた。ME/CFSの主な症状には、思考力の障害や重度の倦怠感などが挙げられる。

ME/CFS治療での使用例や、ロング・コビッド治療での数件のパイロット試験での成果をもとに、現在少なくとも4つの臨床試験が予定されている。米国立データベースの情報やME/CFSとロング・コビッドの研究者12人によると、これらでは、ロング・コビッドに悩む患者数百人を対象にナルトレキソンが投与されるという。

米国立衛生研究所がロング・コビッドの原因や治療法の研究のため始めた10億米ドル(約1500億円)規模のRECOVERイニシアチブでも、ナルトレキソンは治験の候補として挙がっていると、アドバイザーらはロイターに明かした。

新型コロナによる肺などの内臓へのダメージからくる症状に対する治療法とは異なり、低用量のナルトレキソン(LDN)は症状の原因となっている基礎病理に効く可能性があると、彼らは話す。

ナルトレキソンは抗炎症作用があり、長年にわたって線維筋痛症やクローン病、多発性硬化症の治療に低用量で使われてきたと、アラバマ大学バーミンガム校で神経炎症・疼痛・倦怠感研究所のディレクターを務めるジャレッド・ヤンガー博士は語る。

低用量とされる処方量の10倍である50ミリグラムの量では、ナルトレキソンはオピオイドやアルコールへの依存治療に用いられる。複数のジェネリック製薬会社が50ミリグラムの錠剤を発売しているが、低用量のものは、調剤薬局でしか手に入らない。

同薬を抗炎症剤として新たに位置付けるレビューを書いたことのあるヤンガー氏は、ロング・コビッド治療におけるLDNの効果を調べるために、9月に研究助成金を申請した。「臨床試験で最優先されるべき事項だ」と同氏は語った。

それでも、身体の痛みから動悸や不眠、認知障害まで約200もの症状を含むロング・コビッドを抱える人全員を同薬が救えるとは言い難い。218人のME/CFS患者を対象とした実験では、被験者の74%に不眠や痛み、神経障害の改善が見られた。

「万能薬ではない」と指摘するのは、スタンフォード大学の研究者でME/CFS患者支援団体MEActionで科学アウトリーチのリ-ダーを務めるハイメ・セルツァー氏だ。「これらの人々は完治したのではなく、改善したのだ」

<人生の再スタート>

ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの医学部で感染病学を専門とするジャック・ランバート医師は、慢性ライム病に伴う痛みや倦怠感の治療に、LDNを処方してきた。

パンデミック(世界的大流行)の最中、コロナ感染後に長引く症状を訴える患者を担当する同僚らに、同氏はLDNの処方を勧めていた。

あまりにも効果が出たため、ランバート氏はロング・コビッド患者38人を対象とした試験的研究を行った。7月に発表された報告書によると、2カ月で患者らに体力の回復や、痛み、集中力不足、不眠、そして全般的なコロナの症状の改善が見られた。

ランバート氏は現在、これらの結果の正確性を確かめるために、より大規模な実験を計画している。LDNの効果については、症状を表面的に抑えているのではなく、感染によるダメージを修復していると考えているという。

LDNを用いた治験は、他にも加バンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア大学や米ミシガン州アンアーバーが拠点の医療系ベンチャー企業AgelessRxなどが行う予定だ。同社の治験には36人の被験者が参加し、研究の結果は年末までに出るだろうと、共同創始者のサジャド・ザルザラ氏は述べた。

科学者らは、LDNがどのようにロング・コビッドにはたらきかけるかの説明に取り組んでいる。

豪国立神経免疫学・新興感染症研究所のソニヤ・マーシャルグラディスニク博士が行った研究によると、ME/CFSとロング・コビッドの症状は、免疫系においてウイルス等に対する防御反応などを担うナチュラルキラー細胞の機能が大幅に低下することが原因だという。実験室で試した際には、LDNがこの細胞の機能を修復した可能性が見られたが、この仮説はまだ実証されていない。

また感染によって、中枢神経系にあるミクログリアという免疫細胞から、サイトカインが生成されると考える研究者もいる。このサイトカインは炎症分子で、倦怠感をはじめとするME/CFSやロング・コビッドに見られる症状を引き起こすはたらきを持つ。ヤンガー氏は、ナルトレキソンがこうした過敏になった免疫細胞を落ち着かせると考えている。

ケンタッキー大学のウイルス学者、ザック・ポーターフィールド医師は、自身が共同責任者を務めるRECOVERのタスクフォースで、同イニシアチブの治験にLDNを含めるよう薦めたという。

関係者によると、現在検討中の他の治療法には、米製薬大手ファイザーのパキロビッドなどの抗ウイルス剤や、抗凝固剤、ステロイド薬、栄養サプリメントがあるという。RECOVERの担当者らは、数十件もの提案を受けており、治験内容が固まるまではどの薬が試されるかは明らかにできないとコメントした。

スタンフォード新型コロナ急性期後クリニックの共同ディレクターでRECOVERのアドバイザーを務めるヘクター・ボニージャ医師は、これまでに約500人のME/CFS患者にLDNを処方しており、そのうち約半数から効果を実感したとの報告を受けているという。

同氏が調べたロング・コビッド患者18人のうち、11人が症状改善を見せた。ボニージャ氏は、より大規模で正式な実験を行えば、LDNが本当に効果をもたらしているか結論を出せるとの考えを示した。

© Reuters.  10月18日、米運輸省で働くローレン・ニコルズさん(写真)は、2020年春に新型コロナウイルス感染症を患って以来、思考力と集中力の低下や、倦怠感、けいれん、頭痛、身体の痛みといった後遺症に悩まされてきた。写真はマサチューセッツ州アンドーバーで8月3日撮影(2022年 ロイター/Lauren Owens Lambert)

RECOVERで患者アドバイザーを務めるニコルズさんは、LDNが政府出資の治験候補に挙がっていることを知り、「天にも昇る気持ち」になったという。

コロナ関連の症状が全てLDNで完治したわけでなくとも、ニコルズさんは今、休憩をこまめに挟まなくとも1日働けるようになり、プライベートを楽しむことができている。

「LDNのおかげで人生の再スタートを切れたように感じる」と、笑顔を見せた。

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