David Lawder
[ワシントン 2日 ロイター] - イエレン米財務長官は2日、米国の対中政策が世界経済の分断につながってアジア諸国がどちら側につくかを迫られる事態になることはないとの考えを示した。
今月サンフランシスコで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を前に講演し、米中経済の完全なデカップリング(切り離し)は「単純に現実的ではない」と述べ、特にアジアのサプライチェーンの複雑さや中国との経済的つながりの深さを踏まえるとそうだと指摘した。
米中間で国家安全保障を巡り輸出や技術の規制が強化される中、両国の対立により世界経済が地政学的に分断されることへの懸念の高まりを意識した発言とみられる。
イエレン氏は「両国経済の完全な分離や、インド太平洋諸国を含む各国がどちらかの側に立たざるを得なくなるようなアプローチは世界的に大きな悪影響を及ぼすだろう」と指摘。「われわれはそのような分断された世界とその悲惨な影響には関心がない」と述べた。
米国は代わりに国内製造業への投資やインド太平洋諸国を含む世界の同盟国やパートナーとの連携強化により、中国との経済関係の「リスク低減と多様化」を追求しているという。
米国は国家安全保障上の行動で妥協はしないが、「中国の成長を止める」目的ではないとし、対象を絞ることを目指すとした。