[ロンドン 10日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)が10日公表した報告書によると、2030年までにデジタル通貨を流通させている新興国・先進国の中央銀行は24行に達する見通しだ。
現金離れが加速する中、デジタル決済を民間部門に委ねないためにリテール型のCBDC(中央銀行デジタル通貨)を検討している中銀や、金融機関同士の取引を想定したホールセール型のCBDCの導入を検討している中銀がある。
調査は2022年後半に86の中銀を対象に実施した。
新たなCBDCの大半はリテール型となる見通しで、すでに導入しているバハマ、東カリブ通貨同盟、ジャマイカ、ナイジェリアに11行の中銀が加わる可能性がある。
ホールセール型は9行の中銀が発行する可能性があるという。
スイス中銀は6月下旬、国内のデジタル取引所でホールセール型CBDCを試験的に発行すると発表。欧州中央銀行(ECB)はデジタルユーロの試験を開始する予定で2028年に発行される可能性がある。
中国では現在2億6000万人が試験的にデジタル人民元を利用。インドとブラジルも来年デジタル通貨を導入する予定だ。
何らかの形でCBDCに取り組んでいる中銀の割合は調査対象の93%に上昇。全体の60%がステーブルコインなど暗号資産(仮想通貨)の登場を受けて作業を急いでいると回答した。
暗号資産市場では、昨年5月の無担保型ステーブルコイン「テラUSD」の暴落や昨年11月の暗号資産取引所FTXの破綻など、混乱が相次いでおり、消費者・企業の暗号資産利用について中銀や関連機関が最近調査を実施したとの回答は全体の40%近くを占めた。