[シドニー 17日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した9月の雇用統計は、就業者数が前月比1万4700人増と、市場予想に一致し、失業率は7カ月ぶりに低下した。労働市場の引き締まりを示す初期の兆候が出始めている可能性がある。
失業率は5.2%と、1年ぶりの高水準だった前月の5.3%から低下。求職活動者の減少が背景にある。
フルタイム就業者数は2万6200人増で、全体の増加分全てを占めた。
統計発表後、豪ドルは0.6783米ドルに上昇した。
オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は景気浮揚に向けて今年3回の利下げを行っており、雇用統計の改善は歓迎すべき材料となりそうだ。
ただ、失業率は中銀が望ましいとする4.5%を引き続き大幅に上回っているため、さらに改善しなければ追加緩和策の必要性が低下したとは見なされないとみられる。
中銀のデベル副総裁は17日、国内不動産市況の悪化が家計消費に打撃を与え、経済成長とインフレへの大きな足かせとなっていると指摘した。今年3回実施した利下げにもかかわらず、こうした状況は少なくとも今後1年は続く見込みという。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、マーセル・ティエリアント氏は「失業率が低下したことにRBAは安堵するだろう」と分析。「ただ、雇用調査では雇用の伸びの鈍化が示されており、失業率は来年の早い時期に5.5%に達するとわれわれは見込む」と述べた。
その上で、中銀が12月に政策金利を0.5%に引き下げるとの予想を示した。
先物市場が織り込む11月利下げの確率は20%となっており、12月は同確率が60%に上昇している。