[ワシントン 15日 ロイター] - コロナウイルスの感染拡大により、地域社会が痛手を受け、米国を含む多くの国で経済活動が混乱している。グローバルな金融状況にも多大な悪影響が出ている。
入手可能な経済データによると、米経済は力強い足取りで、この厳しい局面に入った。1月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降に入手した情報によると、労働市場は2月までは依然として力強く、経済活動は緩やかなペースで拡大していた。ここ数カ月の雇用の伸びは平均すると堅調で、失業率は低水準にとどまっている。
家計支出は緩やかなペースで拡大しているが、企業の固定投資と輸出は低迷が続いている。つい最近ではエネルギー部門がストレスに見舞われている。
全体のインフレ率と食品・エネルギーを除くインフレ率は前年比で2%を下回っている。インフレ補填を示す市場ベースの指標は低下しており、調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標はあまり変わっていない。
委員会は法律上与えられた責務に従って、雇用最大化と物価安定の促進を目指す。コロナウイルスの影響は短期的に経済活動の重しになり、経済見通しのリスクとなる見通しだ。こうした状況を踏まえ、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標レンジを0─0.25%に引き下げることを決めた。
委員会は、経済が最近の出来事を乗り切り、最大雇用と物価安定という目標の達成に向けた軌道に乗ったと確信するまで、この目標レンジを維持すると見込んでいる。
今回の行動は、経済活動と力強い労働市場の状況を支える助けになるとともに、委員会の対称的な目標である2%に回帰するインフレ率を支える助けとなる。
委員会は引き続き、公衆衛生やグローバルな動向、落ち着いたインフレ圧力に関連する情報を含め、今後入ってくる経済見通しの情報の意味合いを引き続き監視し、経済を支えるため適切に手段を活用し行動する。
金融政策スタンスの今後の調整のタイミングと規模を決めるに当たっては、委員会は、最大雇用の目標と対称的な2%のインフレ目標との比較で経済状況の実績と見通しを評価する。この評価では、労働市場の状況に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融動向や国際情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。
FRBは家計・企業への信用フローを支援し、最大雇用と物価安定の目標達成を促すため、あらゆる種類の手段を活用する用意がある。家計・企業への信用フローの中心である国債市場とエージェンシー・モーゲージ担保証券市場の円滑な機能を支援するため、委員会は、今後数カ月で、国債の保有額を少なくとも5000億ドル、エージェンシー・モーゲージ担保証券の保有を少なくとも2000億ドル増やす。
委員会は、FRBが保有するエージェンシー債とエージェンシー・モーゲージ担保証券の償還元本もすべて再投資する。
さらに公開市場デスクは最近、翌日物とターム物のレポオペを拡大した。委員会は引き続き市場の状況を注視し、適切に計画を調整する用意がある。
今回の金融政策措置に賛成したのは、ジェローム・パウエル委員長、ジョン・ウィリアムズ副委員長、ミシェル・ボウマン、ラエル・ブレイナード、リチャード・クラリダ、パトリック・ハーカー、ロバート・カプラン、ニール・カシュカリ、ランダル・クオールズの各委員。
反対票を投じたロレッタ・メスター委員は市場の円滑な機能と家計・企業への信用フローを促す措置をすべて完全に支持したが、FF金利の目標レンジを今回の会合で0.5─0.75%に引き下げることが望ましいと主張した。
家計と企業の信用ニーズを支援する措置に関連して、FRBは割引窓口、日中の信用、銀行資本、流動性バッファー、所要準備に関する措置に加え、他の中銀と協調し、米ドルの流動性スワップラインの取り決めを発表した。追加の情報はFRBのサイト( https://www.federalreserve.gov )に掲載されている。