[ワシントン 9日 ロイター] - 米労働省が9日発表した4月の雇用動態調査(JOLTS)は、レイオフ・解雇件数が770万件と、前月から380万件減少した。ただ過去2番目に高い水準にとどまったほか、採用件数は過去最低を更新。新型コロナウイルス感染拡大による危機的な状況から米労働市場が回復するには何年もかかる恐れがあることが示唆された。
レイオフ・解雇率は5.9%と、過去最悪だった7.6%からは改善。レイオフ・解雇は宿泊、外食、小売業界で大きく減少した。ただ、建設、情報、卸売業界では増加した。新型ウイルス感染拡大前はレイオフ・解雇件数は毎月180万件程度で推移していた。
インディード・ハイアリング・ラボの調査部門責任者、ニック・バンカー氏は「津波は去ったもようだが、今後もレイオフ・解雇件数が高止まりする状況は続くと予想され、労働市場にはまだ大きな改善余地がある」と述べた。
求人件数は500万件と、前月から96万5000件減少し、2014年12月以来の低水準を付けた。求人率は3.7%と、前月の3.8%から低下し、17年1月以来の低水準となった。4月は求人1件当たり4.6人の失業者が存在していた計算になる。
減少は専門・企業サービス、ヘルスケア、社会支援、小売業界に集中。政府の求人は8万2000件減少した。求人件数は19年1月に752万件と、ピークを付けていた。
MUFG(ニューヨーク)のエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「こうした求人の多くは数カ月前に出されたもので、必ずしも新型ウイルス感染拡大で職を失った人たちの雇用機会になるわけではない」との見方を示した。
採用件数は350万件と160万件減少、採用率は3.4%から2.7%に低下し、ともに過去最低を更新した。採用は専門・企業サービス、宿泊、外食、建設を中心に幅広い業種で減少。採用件数は新型ウイルス感染拡大前は毎月590万件近辺で推移していた。
エコノミック・ポリシー・インスティテュート(ワシントン)の政策部門責任者で、労働省の首席エコノミストを務めた経験のあるヘイディ・シアーホルツ氏は「こうした統計に現れる人々の苦しみは計り知れない」と述べた。
自発的な離職件数は180万件と、前月から100万件減少し、10年1月以来の低水準を付けた。自発的な離職率は1.4%と、前月の1.8%から低下し、9年ぶりの低水準となった。自発的な離職率は労働市場における信頼感の水準を見極めるために政策担当者やエコノミストが注目している。
*内容を追加しました。