[オタワ 15日 ロイター] - カナダ統計局が15日発表した4月の製造業売上高は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により多くの企業が事業閉鎖を強いられる中、前月比28.5%減と過去最大の落ち込みを記録した。ただアナリストやカナダ統計局は、5月に改善するとの見方を示している。市場予想は20%減だった。
3月の製造業売上高は当初発表の9.2%減から9.8%減へ下方改定された。
CIBCキャピタルマーケッツの上級エコノミスト、ロイス・メンデス氏は「当初予想よりもずっと大きく落ち込んだ。製造業の持ち直しが当初予想よりも長くかかる可能性がある」と指摘した。
売上高は全21業種で減少した。製造業部門の5分の4以上の企業が新型コロナのパンデミックが事業に打撃となったと回答した。
数量ベースの売り上げは26.0%減と、こちらも過去最大の落ち込みだった。
カナダでは全10州で経済活動を徐々に再開している。5月は多くの製造業が事業を再開することからカナダ統計局は「4月と比べて売り上げが増える見込みだ」とした。
RBCエコノミクスの上級エコノミスト、ジョシュ・ナイ氏は「物理的距離の規制が緩和されたことで一部の工場は再開もしくは生産能力を増やすことができ、4月が最悪期だったと言えるだろう」と述べた。
製造業売上高の内訳は、輸送機器が76.4%減と、過去最大の落ち込みだった。そのうち自動車が97.5%、同部品は88.1%それぞれ減少した。石油・石炭製品は、低迷する需要を受け精製所が生産を減らす中、46.4%減と過去最大の落ち込みを記録。4カ月連続で減った。
食品は12.8%減。3月は9.9%増加していた。4月は食肉加工工場で新型コロナの感染者が出たことで一部事業が閉鎖したことが落ち込みの一因だ。
一方、カナダ不動産協会(CREA)が発表した5月の住宅販売は前月比56.9%増と、過去最大の伸びとなった。同月には新型コロナの感染拡大を抑えるための封鎖措置が緩和された。4月は大幅に落ち込んでいた。
CREAの上級エコノミスト、ショーン・キャスカート氏は「好ましい方向に動いているが先は長い」と述べる。
実質販売(季節調整前)は前年同月比で39.8%減だった。住宅価格指数は前年同月比5.3%上昇。キャスカート氏は「売り上げと新規物件は減った後にまた増えた。全体の供給は減り続けており、価格は底堅さを保っている」とした。 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200615T174428+0000