[ロンドン 11日 ロイター] - コンサルティング大手・デロイトとIHSマークイットは11日、英国が欧州連合(EU)離脱により月間2兆3000億ポンド(3兆2500億ドル)相当のデリバティブ(金融派生商品)取引を失い、代わりの取引地としてニューヨークが最も多く選ばれたとの報告書を公表した。
英国は昨年末にEUから完全に離脱。英金融部門のEU市場へのアクセスに制限が設けられた。
EUの金融機関など市場参加者は、スワップ取引でロンドン拠点の取引プラットフォームを使用できなくなった。その一方、EUは米国に対し、EUの投資家へのサービス提供を許可した。
1月の暫定統計で、ロンドンで行われてきた金利スワップ取引の大部分がEUや米国のプラットフォームに移ったことが示されていたが、今回の報告書はその流れが定着したことを確認する内容となった。
ユーロ建てスワップ取引のシェアは、ロンドンが2020年7月時点の40%弱から今年3月には約10%に低下。一方、EUのプラットフォームは10%から26%に拡大し、米国も10%弱から19%に膨らんだ。全通貨建ての取引におけるニューヨークのシェアは、さらに大きかった。
報告書は「総じて見れば、EUよりも米国のプラットフォームに移った取引の方が多かった」と指摘した。
一方、報告書によると、ユーロ建て金利スワップの決済業務の90%強がロンドンにとどまっている。
EUのマクギネス欧州委員(金融サービス担当)は、11日の国際スワップ・デリバティブ協会のイベントで「EUの金融システムに関するリスクのかなりの量が依然、ロンドンにある」と述べた上で「長期的に持続可能では全くない」と強調した。
EUの金融機関は、ユーロ建てスワップの決済業務を2022年6月までロンドンで続けることが認められている。