[北京 17日 ロイター] - 中国国家統計局が17日発表した4月の鉱工業生産は前年同月比9.8%増加し、3月の14.1%増から伸びが鈍化した。ロイターがまとめたアナリスト予想と一致した。
4月の小売売上高は前年比17.7%増加。伸び率はアナリスト予想の24.9%を下回ったほか、3月の34.2%から鈍化した。
1─4月の固定資産投資は前年同期比19.9%増加。市場予想は19.0%増だった。1─3月の25.6%増から伸びは鈍化した。
投資全体の約6割を占める民間固定資産投資も21.0%増加したが、1─3月の26.0%増から鈍化した。
中国の輸出企業は旺盛な需要による恩恵を受けているが、世界的なサプライチェーン(供給網)のボトルネックと原材料費上昇が生産を圧迫しており、新型コロナウイルス危機からの急速な回復に冷や水となっている。
中国共産党中央政治局は先月、国内経済の回復は依然として不均一で、その基盤は強固なものではないとの見方を示し、よりバランスの取れた経済回復を目指すとした。
中国の国内総生産(GDP)は、第1・四半期に18.3%増と過去最大の伸びとなり、多くのエコノミストは今年の成長率が8%を超えると予想している。
しかし、一部のエコノミストは、世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱が続いていることや、比較対象のベースが高くなっていることが、今後の四半期の勢いは鈍るとしている。
統計局の付凌暉報道官は記者会見で、4月の国内経済が安定的に改善しているものの、国際商品価格の上昇など新たな問題も発生しているとし、「国内経済回復の基盤はまだ確実ではない」と語った。
また、「企業全体としては、物価上昇は企業効率向上につながるが、川下産業への圧力には注意が必要だ」と述べた。
一方で、今年の消費者物価の安定維持に自信を示した。
11日に発表された4月の生産者物価指数(PPI)は前年比6.8%上昇し、2017年10月以来の高水準を記録。中国人民銀行が先週公表した報告によると、第2・四半期と第3・四半期はさらに上昇する可能性がある。
4月指標の伸びが鈍化したのは、新型コロナ流行を受けた昨年初めの落ち込みによるベース効果が薄れたことも要因。製造業セクターでは、自動車生産台数の伸びが69.8%から6.8%に急低下。これはベース効果に加え、自動車向け半導体の不足も影響している。
浙江省の自動車用品工場の幹部は「生産コストが確実に上昇し、利益が押し下げられている」と話す。販売は増えているものの、ペースは比較的鈍く、生産を縮小する予定だという。
素材分野では、セメント生産の伸びが鈍化し、石炭生産が減少する一方で、アルミや粗鋼の生産は過去最高となった。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、Zhiwei Zhang氏は、「中国経済はアンバランスな回復を示している。輸出と国内投資が好調な一方で、消費は低迷している」とし、雇用が多い旅行やレジャー、娯楽関連セクターでは新型コロナを巡る不確実性がなお足かせだと指摘した。
小売売上高では、家庭用電化製品の伸びが前月の38.9%増から6.1%増に急低下。キャピタル・エコノミクスの中国シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「今後、労働市場の逼迫が続く中で、消費の回復は今後数カ月のうちに再びペースを上げるだろう」と見通した。
1─4月の不動産投資、不動産販売、新築住宅着工は軒並み、1─3月から伸びが鈍化した。