[シドニー 20日 ロイター] - 豪連邦統計局が20日発表した4月の雇用統計によると、失業率は5.5%と、2020年4月以来の水準に改善した。失業率の低下は6カ月連続で、豪ドルは上昇している。
ロイターがまとめたアナリストの予想は5.6%だった。
失業率の低下は、就業者数が減少したものの求職者も減ったことが背景。
4月の就業者数は3万0600人減と、エコノミスト予想(1万5000人増)に反して減少した。ただ減少したのはパートタイム雇用(6万4400人減)で、フルタイム雇用は3万3800人増加した。
労働参加率は3%ポイント低下し、66.0%。
現在働いているがもっと働きたい人の割合である不完全就業率は7.8%で7年ぶりの低水準だった。
失業率は、新型コロナウイルス感染拡大防止のためのロックダウン(都市封鎖)の影響で昨年7月に7.4%まで上昇した。雇用は順調に回復しているが、豪準備銀行(中央銀行)は完全雇用状態になるには4%以下に下がる必要があるとみており、豪中銀の利上げは当面ないとみられる。
コムセックのチーフエコノミスト、クレイグ・ジェームズ氏は「雇用市場のタイト化が続いている。企業は求人を埋めるためにより高い報酬を提示する可能性がある」と述べた。「豪中銀の失業率目標の4.5%はまだ遠く、政策金利の引き上げもしかり。ただ雇用市場の回復ペースは、賃金や物価の伸びを注意深く見守る必要があることを意味する」と述べた。
豪中銀は、インフレ・雇用の目標が達成されるまで、現在過去最低の0.1%の政策金利を引き上げることはないと繰り返し表明している。