[上海 20日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は20日、銀行の貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を16カ月連続で据え置いた。
1年物LPRは3.85%、5年物LPRは4.65%に維持した。
ロイターが今週実施した調査では、トレーダー・アナリスト32人中25人が1年物か5年物のいずれかの据え置きを予想、7人は1年物が下げられると予想していた。
ただ、今週発表された7月の中国指標では鉱工業生産と小売売上高の伸びが鈍化。当局が景気刺激策を強化するとの市場の見方に変化はない。
エコノミストらは、当局は財政支出を拡大し、金融システムの潤沢な流動性を維持するとしつつ、資産バブルを引き起こすリスクのある積極的な金融緩和には乗り出さない、と予想する。
ANZの中国担当シニアストラテジスト、ケイ兆鵬氏は、年内に再び預金準備率が引き下げられると予想。「われわれは人民銀が慎重なアプローチを取り、(預金準備率を)今年第4・四半期と2022年第1・四半期にそれぞれ50ベーシスポイント引き下げると予想している」と指摘した。
ゴールドマン・サックスのエコノミストは今週のノートで、「われわれは第4・四半期に財政支出が成長を支援するほか、預金準備率の追加引き下げによる流動性供給に支援されると予想している」と指摘。一方で、「民間需要が低迷する中、金融政策の伝達問題や生産者物価指数(PPI)の上昇継続、不動産価格の抑制策が進められている」として政策金利の引き下げは見込んでいないと付け加えた。
中国の新規および既存融資の大半は1年物LPRに基づき金利が設定され、5年物LPRは住宅ローンの金利設定に影響する。
中国人民銀行は16日、1年物の中期貸出制度(MLF)を通じて金融機関に6000億元(926億4000万ドル)を供給した。金利は2.95%で前回と変わらず、16カ月連続で据え置いた。
LPRの誘導目標の役割を果たすMLFの金利が16カ月連続で据え置かれたことから、LPRも据え置かれたと市場参加者は指摘する。
あるトレーダーは「MLFの金利が据え置かれた状態でLPR金利だけを変えるのは難しい」とコメントした。