[シドニー 27日 ロイター] - オーストラリア統計局(ABS)が27日発表した7月の小売売上高は、前月比2.7%減と今年最大の落ち込みとなった。最大都市シドニーで実施された新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)による小売店などの休業が響いた。
市場予想の2.3%よりも大幅な減少で、7─9月期の国内総生産(GDP)が大幅なマイナス成長になるとの見方を裏付けた。7月の小売売上高は298億豪ドル(215億5000万米ドル)だった。6月は1.8%減少していた。
小売部門は豪GDPの約18%を占める。8月はメルボルンとキャンベラでもロックダウンが導入されたため、売上高の指標が一段と悪化するとみられる。
7月小売売上高はニューサウスウェールズ(NSW)州で9%近く減少した。8月にはビクトリア州でも同程度の減少が見込まれている。
CBAの豪経済担当責任者ガレス・エアード氏は「ロックダウンを受けて55万人が一時帰休になったと推定される」と指摘。「第3・四半期のGDP伸び率をこれまでマイナス2.75%と予想していたが、マイナス4.25%に下方修正した」と述べた。
そうなれば再びリセッション(景気後退)に陥る可能性も出てくる。ただアナリストの間では、新型コロナワクチンの接種が最近進展していることを踏まえ、第4・四半期には封鎖が解除されリセッション入りは回避できるとみる向きもある。
オーストラリアでのコロナワクチン接種は、当初こそ遅滞していたが、この1週間では1日当たり平均26万人が接種しており、ペースが著しく加速している。現時点では成人の32%強が接種を完了し、少なくとも1回接種した人は55%となっている。