[ワシントン 30日 ロイター] - 米労働省が30日に発表した9月25日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は36万2000件と、前週から1万1000件増加した。増加は3週連続。
労働市場の回復基調は引き続き底堅いと見られるものの、成長鈍化が第3・四半期以降も継続するという懸念をあおる可能性がある。
市場予想は33万5000件だった。
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「新型コロナウイルスのデルタ変異株の影響だけではなさそうだ。経済成長の著しい減速が始まる可能性があり、パンデミック(世界的大流行)の影響で失業した人の職場復帰や再就職は一層困難となるだろう」と述べた。
申請件数はこのところ増加傾向にあり、エコノミストは、カリフォルニア州の山火事のほか、メキシコ湾岸地域とニューヨーク州を含む北東部に大規模な被害をもたらしたハリケーン「アイダ」などの影響が背景にあると指摘している。
労働市場の動向をより正確に反映するとされる4週間移動平均は34万件と、前週の33万5750件から増加した。
また、調整前の申請件数は前週比8326件減の29万8255件だった。
カリフォルニア州の申請件数は1万7978件増と、前週に続き増加。連邦政府が新型コロナ対策の一環で実施した失業手当給付措置の失効に伴い、一部の失業者を他の失業給付プログラムに移動させたことが背景という。
ミシガン州でも増加。半導体不足を背景とした自動車組み立て工場の休止を反映している可能性がある。
テキサス州も大幅増となる一方、バージニア、メリーランド、アリゾナ、オハイオ、ルイジアナ各州では大きく減少した。
ネイビー・フェデラル・クレディット・ユニオンのコーポレートエコノミスト、ロバート・フリック氏は「現在の新型コロナの波が落ち着いたものの、前回の波と同様、企業が人員削減をストップするには数週間を要する見通し」とし、申請件数の減少トレンドは「10月に始まる可能性がある」と述べた。
9月18日までの1週間の継続受給件数は1万8000件減の280万2000件だった。
連邦政府による失業手当給付措置が全米で失効し、今月6日に800万人超の給付が打ち切られたと推定されている。
この特別措置が再就職の足かせになっているという批判も出ていたものの、シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は、約半数の州が給付を期限前に打ち切っていたことに言及し、「全米レベルで失業対策が終了しても、労働人口が急速かつ大幅に回復する公算は小さい」と述べた。