[マニラ 9日 ロイター] - フィリピン統計局が9日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年比7.1%増加し、伸び率はロイター調査の予想(4.8%)を上回った。ただ、新型コロナウイルス対策の新たな制限導入に伴い、前四半期の12.0%(改定値)からは成長の勢いが鈍化した。
季節調整済み前期比では3.8%増だった。
フィリピン経済は第2・四半期に6四半期ぶりにプラス成長に回帰していた。だが、コロナ感染再拡大を受けて政府が8月にマニラ首都圏と周辺地域に厳しい行動制限を再び敷いたことなどが成長鈍化につながった。
それでもなお、国家経済開発庁のチュア長官は、新規感染者の減少とワクチン接種率の上昇で第4・四半期にさらなる制限緩和が可能になったとし、年間成長率目標の4.0─5.0%は引き続き達成可能で、超過する可能性もあると語った。
第3・四半期GDPの内訳は、個人消費が前年比7.1%増、政府支出が13.6%増とどちらも堅調だった。
業種別では工業が7.9%、サービス業は8.2%の増加となった。農林水産業は天候不順やアフリカ豚熱流行の影響もあり、1.7%減った。
インフレは加速しているが、経済が潜在成長率を下回る状態が続いているため、エコノミストは中央銀行がしばらくの間、政策金利を過去最低の2.0%に維持すると見込む。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、アレックス・ホームズ氏は、緩慢な景気回復が基調的な物価上昇圧力を抑制する見通しだとし、中銀は2023年まで金融政策の引き締めに乗り出さない可能性が高いと指摘した。
中銀は年内にあと2回の政策会合を予定しており、次回は今月18日に開かれる。