[ロンドン 23日 ロイター] - IHSマークイットが23日発表した11月のユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は55.8で、10月の54.2から上昇した。足元の新型コロナウイルス感染拡大と行動制限の影響はみられなかったが、コストは引き続き上昇した。
ロイター調査では53.2に低下すると予想されていた。
IHSマークイットのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「11月PMIはエコノミストの予想に反して上昇したが、ユーロ圏の成長が第4・四半期に減速するのは避けられないだろう。特に新型コロナの感染拡大で12月には経済活動が再び制限されそうだ」と述べた。
オックスフォード・エコノミクスのロリー・フェネシー氏は、「11月のPMI速報値は、ユーロ圏、フランス、ドイツで予想外に上昇した。しかし、ユーロ圏の一部の国でコロナ感染が急拡大しており、目先の見通しは急速に悲観的になっている。12月はセンチメントが低下するだろう」と述べた。
ドイツの総合PMIは上昇したが、サプライチェーン(供給網)の問題が引き続き製造業の生産を阻み、コストを押し上げた。
フランスは、サービスPMIが約4年ぶりの高水準となった。
<物価圧力>
供給のボトルネック、トラック運転手不足を背景に原材料は売り手市場。総合PMIの投入価格指数は73.2から75.9に上昇し、1998年半ばの調査開始以来、最高となった。
サービス部門PMIは54.6から56.6に上昇。エコノミスト予想の53.5を大きく上回った。
ただサービス業は行動制限の影響がより大きい公算のため、見通しは悪化。事業期待指数は69.0から66.6に低下し2月以来の低水準となった。
製造業PMIは58.3から58.6に上昇。生産指数は53.3から53.8に上昇した。
需要は引き続き旺盛で、製造業は原材料コストの大幅上昇の一部を顧客に転嫁した。産出価格指数は72.6から74.3に上昇し、19年前の統計開始以来、最高となった。
キャピタル・エコノミクスのジェシカ・ハインズ氏は「製造業もサービス業も産出価格指数が約20年ぶりの高水準で、総合インフレ率が当面高止まりするとの当社の見方と一致する」と述べた。