[シンガポール/ロンドン 17日 ロイター] - 英銀大手スタンダード・チャータード(スタンチャート)は17日、収入目標を引き上げるとともに、自社株買いを発表した。
同時に発表した2021年の通期決算は、税引き前利益が倍増。新型コロナウイルス禍からの市場の回復や金利上昇が寄与した。
同行は金利上昇を背景に収入が追加で年3%増加すると予測。
7億5000万ドル規模の自社株買いも発表した。直ちに開始する。2021年の配当は12セントと、前年比で3分の1引き上げた。
ビル・ウィンターズ最高経営責任者(CEO)は「資産全般の質と利益見通しに対する自信で株主に大規模な資本を還元できる」と表明した。
21年の税引き前利益は33億ドル。前年は16億ドルだった。同行がまとめた市場予想は38億ドル。
貸倒引当金は2億6300万ドル。前年は23億ドルだった。
同行は利益率改善に向けた13億ドルのコスト削減の一環で、コンシューマーバンキング部門の経費を5億ドル削減すると発表した。
ロンドン市場の同行株は4%下落。通期決算が予想を下回ったことに加え、利上げとコスト削減に依存する成長戦略に対しアナリストの間で懐疑的な見方が浮上している。
同行は、利益率を2桁にする目標を2024年に前倒しすると発表。これまでは目標期限を示していなかった。
第4・四半期の税引き前損益は2億0800万ドルの赤字。第3・四半期は9億9600万ドルの黒字だった。同行がまとめた市場予想は2億8800万ドルの赤。
最大の市場である香港事業の通期利益は2%減。同CEOは香港から人員を移す計画はないが、厳格な新型コロナウイルス規制が続けば、中・長期的にアジアの他の金融ハブに見劣りすることになると述べた。
同行は中国に追加で3億ドルを投資する計画も表明した。