[バンコク 21日 ロイター] - タイ国家経済社会開発評議会(NESDC)が21日発表した2021年第4・四半期の国内総生産(GDP)は季節調整後で前期比1.8%増とプラス成長に回帰し、市場予想の1.4%増も上回った。
輸出が増えたほか、新型コロナウイルス対策の行動制限や旅行者の入国規制の緩和を受けて国内経済活動が持ち直した。
第3・四半期は0.9%減(改定値)だった。
前年比では1.9%増と、こちらも市場予想の0.7%増を上回った。前期は0.2%減だった。
2021年通年のGDPは1.6%のプラス成長となった。20年は6.1%のマイナス成長だった。
22年の成長率予測は3.5─4.5%で維持した。オミクロン株拡大による影響が限定的にとどまるとみているほか、内需拡大や観光部門の回復、輸出や公的支出による支援を見込んでいる。
NESDCのダヌチャ・ピチャヤナン長官は記者会見で、現時点の指標に基づけば、今年第1・四半期の経済活動は好調に推移する可能性が高いが、インフレ圧力が幾分見られると指摘した。
その上で「輸出と財政出動が(景気の)主なけん引役となり、加えて観光と国内消費が下支えする」との見方を示した。
<観光業の回復が鍵>
キャピタル・エコノミクスのアナリストはリポートで、2022年の景気は観光業の回復が鍵を握るとの見方を示した。
「今年は観光業の持続的な回復が始まると予想される。だが観光客の数は新型コロナ感染拡大前の水準を大きく下回り、全体的な景気回復は鈍いままだろう」と指摘した。
また弱い成長見通しを踏まえ「中央銀行は緩和的な金融政策を維持したいと考えるだろう」と予想した。
タイ経済を主導する輸出は昨年第4・四半期に前年比21.3%増加。民間消費は0.3%増だった。外国人観光客数は約34万人と、前期の4万5000人から増加した。
タイは今月、外国人旅行者を対象とした隔離なし入国制度を再開した。観光部門は通常、同国GDPの約12%を占める。
NESDCは今年の外国人観光客数を550万人と予想。昨年11月時点の予想(500万人)から引き上げた。ただ、19年の4000万人は大きく下回る見通しで、緩慢でまだら模様の景気回復が予想される。
今年の輸出成長率の見通しは4.9%で据え置いた。