[ウェリントン 16日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)統計局が16日発表した第1四半期の国内総生産(GDP)は季節調整済みの前期比で0.2%減少し、予想外のマイナス成長となった。国内消費が堅調だった一方、輸出が低迷した。
ただアナリストの多くは、経済が新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)から回復するに伴い、リセッション(景気後退)は回避できるとみている。
第1・四半期GDPはロイターがまとめたエコノミスト予想中央値の0.6%増を下回り、昨年第4・四半期の3.0%増から大幅に悪化した。
NZ準備銀行(中央銀行)が先月示した予想は0.7%増だった。
前年比成長率は1.2%で、こちらも市場予想の2.7%を下回った。
第1次産業や製造業の減少が響いた。統計局の担当者は「食品や飲料、たばこ製造、農林水産業の生産が減少した」と述べた。
モノとサービスの輸出は前期比14.3%減となった。
第1・四半期はオミクロン株の拡大によって同国で初めて全国的にコロナ感染が広がり、経済が打撃を受けた。この日の統計では、それでも国内需要が堅調だったことが示された。
ASB銀行のエコノミストは調査ノートで、前期比の変動を深読みすべきではないとした上で、今年は経済への逆風が多く、成長率は鈍化する見通しだと指摘。「金利上昇、コスト上昇圧力、建設の減速、農産品の生産鈍化、家計の慎重姿勢の強まりが大きなテーマだ」とした。
NZ中銀は昨年10月以降、既に5回利上げしており、インフレ抑制に向けて今後1年で政策金利を現行の2倍の水準に引き上げる可能性を示唆している。
ウエストパック銀行のチーフエコノミスト代理、マイケル・ゴードン氏は調査ノートで「中銀はインフレ圧力を抑えるために需要を経済の潜在供給能力にマッチさせようとしている。経済活動の緩やかな低下は実際のところ有用な展開だ」と述べた。
だが、市場では最も積極的な利上げ観測が後退し、2年物スワップ金利は前日比23ベーシスポイント低下の4.31%となった。NZドルもGDP発表後にやや下落した。