[東京 22日 ロイター] - 米連邦公開市場委員会(FOMC)明けとなった22日の日本市場は、米国市場で株が安値引け、またドルが20年ぶり高値に上昇した流れが波及し、株安・ドル高円安となっている。また長期金利の指標である新発10年国債は、前日に続き、業者間取引(日本相互証券ベース)が成立していない。2日以上の売買未成立は新発10年物が指標銘柄となって初めて。
米連邦準備理事会(FRB)は20─21日のFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3会合連続で0.75ベーシスポイント(bp)引き上げ、3.00─3.25%とした。年内に同規模の追加利上げを少なくとも1回実施する可能性が示されたほか、パウエルFRB議長は終了後の記者会見で、痛みを伴ってもインフレを抑制する「強い決意」を表明した。
きょうの日本株は、FOMCが想定よりタカ派との受け止めから米株安が安値引けしたことが相場の重しとなり、続落している。日経平均株価は前場中盤の取引で前日比約350円下落し、心理的節目の2万7000円も割り込んだ。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「利上げペースを緩めないことが示され、全般的にタカ派の会合だった。米国市場の評価はまだ定まらず、今後経済統計をこなしつつ定まっていくだろう。当面、株式市場のボラティリティは高くなりそうだ」との見方を示す。
外為市場のドル/円相場は午前10時35分現在、144.32円付近と円安に振れている。日米の金融政策の方向性の違いを意識したドル買い/円売りで、朝方には一時144.55円まで上昇する場面もあった。
「ジャクソンホール会合でのパウエル議長講演をフォローアップした格好で、予想通り、タカ派姿勢は変わらなかった。ドルは上下に振れたが、最終的にマーケットは上方向と判断した」(ステート・ストリート銀行東京支店の共同支店長、若林徳広氏)という。
また新発10年国債利回り(長期金利)は、前日に続き、業者間取引を仲介する日本相互証券でまだ出合いがみられていない。売買が丸2日以上成立しないのは1999年3月に新発10年物が指標銘柄となって以来初。
市場では、日銀が指し値オペを連日実施して10年金利をイールドカーブ・コントロール(YCC)の許容変動幅「上限」の0.25%で抑え込むことで「マーケットが壊れつつある」と、話題になっている。
日本では本日まで日銀の金融政策決定会合が開催され、昼ごろに結果が判明する見通し。金融政策の現状維持が市場コンセンサスだが、海外勢の一部には多少の政策修正を見込む向きもあり、結果発表を控えて、東京市場にはやや神経質で様子見するようなムードも漂う。
本日は日本に続いて、海外ではスイス、ノルウェー、英国の中央銀行も金融政策決定会合を開催する。日銀以外はいずれも金融引き締め方向の決定が予想されており、金利差拡大から為替は円安に向かいやすい。このため、日本の当局によるレートチェックや円買い介入の有無に市場の関心が集まる。
(植竹知子)