[ワシントン 12日 ロイター] - 米労働省が12日発表した9月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比上昇率が0.4%で、市場予想の0.2%を上回った。サービスと財の価格が大幅に上昇した。
8月分は0.1%低下から0.2%低下に修正された。
9月は前年比で8.5%上昇。市場予想は8.4%上昇。8月は8.7%上昇だった。
PPIは、サプライチェーンの目詰まり緩和と商品価格が春ごろの高値から下落したことを受けて伸びが鈍化している。
サービス価格は0.4%上昇。全体の上昇の3分の2を占めた。8月は0.3%上昇だった。宿泊費が6.4%上昇し、サービス価格の上昇の4分の1以上を占めた。
また、食品・酒類小売、ポートフォリオ・マネジメント、機械・車両卸売、石油・ガス掘削サービス、入院患者診療のコストも上昇した。
一方、長距離自動車輸送や燃料・潤滑油小売、消費者金融のコストは低下した。
運輸・倉庫は0.2%低下。低下は3カ月連続だった。サプライチェーン(供給網)のボトルネック緩和も追い風となった。最終需要の貿易サービスのマージンは0.1%上昇した。
財(モノ)の価格は0.4%上昇。8月は1.1%低下だった。食品価格が1.2%上昇し、財の価格上昇の60%を占めた。食品価格は生鮮・乾燥野菜が15.7%上昇したほか、鶏卵や豚肉の価格も上昇した。
エネルギー価格は0.7%上昇。ディーゼル燃料、家庭用天然ガス、家庭用暖房油が上昇した。食品とエネルギーを除いたコア財価格は2020年5月以来2年4カ月ぶりに横ばい。8月は0.2%上昇していた。
コア財価格の前年同月比は7.5%上昇。8月の8.1%上昇から鈍化した。コア財価格の前年同月比は4月に付けたピークの10.2%上昇から鈍化が続いている。
中間財の価格は0.1%増、中間サービスの価格は0.3%上昇した。
FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は、インフレは生産工程の初期段階から積み上がったコストであるため、今回の卸売物価は店頭商品の価格上昇に直面している消費者にやや安心感を与えると指摘。「連邦準備理事会(FRB)はインフレとの戦いにまだ勝利していないが、少なくとも生産者レベルでの財価格の上昇ペースに歯止めがかかった」と述べた。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「今後数カ月にわたり財セクターのディスインフレが進むとの見通しは変わっていない。中間財および中間サービスの価格の伸びも引き続き低下傾向にあり、物価の伸びはまだしばらく高止まりするとしてもインフレの最悪期は終わった可能性が高いというわれわれの見解を裏付ける」とした。
変動の大きい食品、エネルギー、貿易サービス部門を除いた9月のいわゆるコアPPIも0.4%上昇した。8月は0.2%上昇だった。前年比では5.6%上昇となった。
FHNフィナンシャルのシニアエコノミスト、ウィル・コンパーノール氏は「サプライチェーン(供給網)の改善により、コア財価格は冷え込んだが、他のあらゆる部分では価格圧力があり、サプライチェーンの改善が全体的な物価上昇率を下げるには不十分であることを想起させる」とした。