[ロンドン 24日 ロイター] - S&Pグローバル/CIPSが24日発表した英国の10月の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.2と、前月の49.1から低下した。インフレと金利上昇を巡る懸念に政局の混乱が加わり、ロックダウン(都市封鎖)下にあった2021年1月以来の低水準となった。
3カ月連続で好不況の分かれ目となる50を下回り、英経済が深刻なリセッション(景気後退)に向かっている可能性が示された。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は48.1だった。
サービス業PMIは47.5と20カ月ぶりに50を割り込んだ。9月は50.0だった。
S&Pグローバルのチーフ・ビジネス・エコノミストのクリス・ウィリアムソン氏は、政治・経済的な不確実性により、新型コロナウイルス対策のロックダウン期間を除いて、2009年の金融危機以来見られなかった水準まで総合指数が落ち込んだと指摘した。
「ますます厳しくなる環境に企業が適応しようとする中で、投資と雇用はこの先数カ月、打撃を受ける」との見方を示した。「雇用はすでに急減速している。製造業では従業員の削減も行われている」と述べた。
企業の信頼感はPMIの25年の調査でめったにないほどの水準に落ち込み、トラス首相を退陣に追い込んだ経済政策を巡る混乱が企業にも深刻な影響を与えたことを示した。
ウィリアムソン氏は物価上昇圧力は弱まったものの、ポンドの下落やエネルギー費用の高騰により投入コストの上昇率は新型コロナ前よりもまだ高く、イングランド銀行(英中央銀行)は利上げを継続する公算が大きいとの見方を示した。
「政治の安定の崩壊、金融市場のストレス、景況感の低下に加え、借り入れコストの上昇により、景気後退への懸念が強まるだろう」と述べた。
新規受注は21年1月以来の低水準を記録した。
EY・ITEMクラブのチーフ・エコノミック・アドバイザー、マーティン・ベック氏は、インフレ過熱感の後退と経済の弱さを示す材料が増え、イングランド銀行の11月の利上げ幅は一部が予想する1%ポイントでなく0.75%ポイントになると予想した。