[ロンドン 16日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が16日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は、前年比上昇率が11.1%と、9月の10.1%を上回り41年ぶりの高水準となった。
ロイターがまとめたエコノミスト予想(10.7%)も上回った。
食品・非アルコール飲料が1977年以来の高い上昇を記録した。低所得層が特に打撃を受けたことになる。
ONSは、政府が家計の光熱費負担を平均で年2500ポンド(2960.25ドル)に制限していなければ、10月のインフレ率は13.8%前後に達していたと指摘した。
CPI発表を受け、ハント財務相は物価上昇に対応するため「厳しいが必要な」決断を下す必要があると表明。「インフレ率の目標達成を目指すイングランド銀行(英中央銀行)を支援するため、国家財政を通じて責任ある行動を取ることがわれわれの義務だ」と述べた。
ONSによると、低所得層はエネルギー・食品への出費の割合が多いため、富裕層よりもインフレの影響を大きく受けている。最低所得層のインフレ率は11.9%、最高所得層のインフレ率は10.5%という。
<利上げ圧力続く>
エコノミストからは中銀への利上げ圧力が続くとの見方がでている。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、マイク・ベル氏は「英中銀は、小幅な利上げでインフレ率を目標の2%に向けて押し戻せると主張したが、われわれにはそうは思えない」と指摘。
同氏はタイトな労働市場に起因するインフレ圧力が過小評価されており、労働者が今後賃上げを求める可能性が高いとし、政策金利が現行の3.0%から最終的に4.5%まで引き上げられるとの見方を示した。
中銀は今月公表した予測で10月のインフレ率を10.9%と予想していた。
INGのエコノミスト、ジェームズ・スミス氏は、インフレがピークに近づいている兆しがあり、政策金利のピークは4%前後と、現在の市場予想をやや下回るとの見方を示した。
食品・エネルギーなど変動の激しい項目を除く10月のコアCPI上昇率は前年比6.5%で変わらず。
同時に発表となった10月の生産者物価指数(PPI)上昇率は、依然高水準だったが、今後インフレが鈍化する可能性を示唆した。
PPI投入指数は前年比19.2%上昇と、3月以来の低い伸び。PPI産出指数は前年比14.8%上昇と、4月以来の低い伸びだった。