[チューリヒ 29日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)のシュレーゲル副総裁は29日、社会のデジタル化が進む中で現金の利用が低下することは確実で、「危機に強い」紙幣や硬貨を供給する重要インフラが縮小するリスクがあるとの見方を示した。
同氏は講演の準備原稿で、現金の供給と処理は量がものを言う業務であるため、現金の利用が減れば関連インフラに縮小圧力がかかると指摘。ただ、レジ、ATM、安全な現金輸送車、現金を扱う施設は現金の処理量に関係なく社会に必須のインフラと言える。スイスではすでに、ATM設置数が減少している。
現金を引き出すインフラが減って現金を受け入れる店舗も減少すれば、現金へのアクセス、現金の利用率と利用可能性が互いに作用して低下が加速する負の連鎖に陥る可能性があるとした。
現金は、カードやアプリによる決済が局所的あるいは広範囲に使えなくなった場合、「重要なバックアップとして機能する」と強調した。