[ロンドン 13日 ロイター] - 英国の失業率は2カ月連続で上昇、シニア世代で職探しの動きが広がり、雇用市場に減速感が出ている。ただイングランド銀行(英中央銀行)が物価動向で注視する賃金は高い伸びを記録した。
国立統計局(ONS)が13日発表した8─10月の失業率は3.7%で、7─9月の3.6%から小幅に上昇した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は3.7%だった。
8─10月の賃金(除くボーナス)は前年比6.1%増加。ロックダウンや政府の支援措置でデータにゆがみが生じた新型コロナウイルス流行時を除いて、2001年の統計開始以来最大の伸びを記録した。
ボーナスを含めた賃金も前年比6.1%増加。ただ両データともインフレ率を下回り、家計の購買力低下を示唆した。
職に就いておらず就業意欲もない人の割合である不就労率は21.5%。前の3カ月から0.2%ポイント低下した。主因は、引退したと考えていた人々が職探ししていること。
ONSは「他のデータも合わせて考えると、生活費が急激に上昇する中、50代で再び働こうと考える人が増えているようだ」と述べた。
ただし不就労率はコロナ前を1.3%上回っている。
経済がすでに縮小局面に入ったとみられる中、雇用主は採用に慎重。9─11月の求人は21年初め以来、初めて前年同期を下回った。
EY・アイテム・クラブのエコノミスト、マーティン・ベック氏は、サービス業の賃金が6.2%上昇したことが英中銀の目を引くだろうと指摘。ただ利上げペースは11月の75ベーシスポイント(bp)から50bpに鈍化するとの見方を示した。
同氏は「サービス業の高い賃金上昇率でインフレが高止まりするとみられ、来年の利下げが難しくなる可能性が高い」と指摘した。
パンセオン・マクロエコノミクスのエコノミスト、サミュエル・トゥームズ氏は、景気減速で雇用情勢が悪化し、賃金の伸びが鈍化すると予想。
「来年3月中旬の中銀金融政策委員会までには、失業増大・賃金の伸び鈍化の証拠が十分に集まり、利上げが停止されるだろう。政策金利はすでに4%前後になっているはずだ」と述べた。