[上海 21日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は21日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)の1年物を10ベーシスポイント(bp)引き下げ、3.45%とした。
景気が減速する中、融資需要を喚起することが狙い。ただ、引き下げ幅は、大半の市場関係者が予想していた15bpよりも小幅だった。
5年物は市場予想に反して4.20%に据え置いた。急激な人民元安に対する懸念が背景とみられている。アナリストは元安で大幅な金融緩和の余地が限られていると指摘。他の主要国との金利差が拡大すれば、一段の元安と資本流出を招くリスクがある。
ロイター調査では35人の市場関係者全員が1年物と5年物両方の引き下げを予想していた。
中国の新規・既存融資は主に1年物LPRに基づいており、5年物LPRは住宅ローン金利に影響する。人民銀は6月に両LPRを引き下げていた。
みずほ銀行のアジア為替部門チーフストラテジスト、ケン・チュン氏は、5年物LPR据え置きは、国内銀行が金利差マージンを犠牲にして金利を引き下げることに消極的だというシグナルとの見方を示した。
さらに、人民銀行の政策ガイダンスの市場への伝達という点でも問題が示されたとし、当局は金融緩和を通じて不動産セクターと景気を刺激する効果的な手段を欠いている可能性があると述べた。
その上で、予想外の決定は「中国の成長見通しと人民元相場にマイナスだ」と指摘した。
国内の人民元相場は序盤の取引で1ドル=7.3078元と、前営業日終値の7.2855元から下落した。中国株式市場も値下がりしている。
人民元は今年対ドルで6%近く下げている。
*動画を付けて再送します。