[パリ 29日 ロイター] - フランスの小売り大手カルフールのアレクサンドル・ボンパール会長兼最高経営責任者(CEO)は29日、物価高により同国の消費者は生活必需品への支出を大きく削減することを余儀なくされていると警笛を鳴らした。フランス政府に対し、小売業者が提示できる販売促進を制限する法律の施行を遅らせるよう求めた。
ボンパール氏はフランス公共ラジオで、同国では支出を抑える動きが「津波」のように押し寄せていると指摘。「生活必需品が入手できなくなったとき、人々が必需品抜きで済ませようとするとき、行動しなければならない」と述べた。
フランスでは、小売業者が食品に設定できる値引き率が34%までに制限されており、この制限を化粧品、衛生用品、ケア用品にも拡大する法律が今年3月に成立、来年3月に施行される予定となっている。
ボンパール氏は、この法律の施行を1年先送りすることを政府に要請すると話した。同氏を含む小売業界の幹部は30日、ルメール経済・財務相と会談し、物価を下げる方法について協議する。
ボンパール氏は、カルフールは現在、洗剤を60%の値引き率で販売することが認められているが、新たな法律が施行されれば、そうした値引きができなくなると主張した。
新法は、小規模な生産者を小売業者との価格交渉で保護することが狙いとされている。
だがカルフールなどの小売業者は、新法により大規模なサプライヤーに対する小売業者の交渉力が制限されると主張。ボンパール氏は、新法によって恩恵を受けるのはプロクター・アンド・ギャンブルやヘンケル、ユニリーバといった世界的に事業を展開する大手企業だけだと訴えた。