Kentaro Sugiyama
[東京 26日 ロイター] - 政府が26日発表した11月の雇用関連指標は、完全失業率が季節調整値で2.5%と前月から横ばいだった。人手不足などで失業者が増加しにくい状況が続いている。有効求人倍率は1.28倍となり、前月から0.02ポイント低下した。
完全失業率はロイターの事前予測調査で2.5%、有効求人倍率は1.30倍と見込まれていた。
総務省によると、11月の就業者数は季節調整値で6775万人と、前月に比べて26万人増加。女性の就業者は3076万人と、1953年以降で過去最多となった。一方、完全失業者数は前月に比べて2万人増加し、177万人となった。
大和証券のエコノミスト、鈴木皓太氏は「失業者が増加しにくい状況が続いているが、足元ではコスト増などを受け、追加的なコストとなる人員増に慎重になっている企業も少なくない。失業率が一段と低下する可能性は低い」との見方を示した。
<雇用情勢、悪化しているとは「言い切れない」>
有効求人倍率は仕事を探している求職者1人当たり、企業から何件の求人があるかを示す。厚生労働省によると、11月の有効求人数(季節調整値)は前月に比べて1.5%減となり、有効求職者数(同)は同0.2%増だった。
有効求人倍率は低下したが、厚労省の担当者は「今月の数字だけをもって雇用情勢が悪化しているとは言い切れない」とコメントした。
11月の新規求人数(原数値)は前年同月比4.8%減だった。産業別をみると「教育、学習支援業」が3.5%増、「情報通信業」が3.4%増となった一方、「宿泊業、飲食サービス業」が同12.8%減、「生活関連サービス業、娯楽業」が同12.5%減、「製造業」が同10.5%減となった。
製造業や建設業だけでなく、宿泊業や飲食サービス業でもコスト増を背景に新規求人を出すことを手控える動きが出てきたという。