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アングル:ジンバブエでネット料金数倍に値上がりも、デジタル格差拡大

発行済 2024-01-20 15:39
更新済 2024-01-20 16:09
© Reuters. ジンバブエの年間実質インフレ率は非公式の推定では約1000%。インターネットの料金も急上昇しており、基本的なサービスの利用や学習、あるいはオンライン事業やリモートワークに

Farai Shawn Matiashe

[ムタレ(ジンバブエ) 10日 トムソン・ロイター財団] - ジョイス・カプブムフティ氏は小さなケータリング会社を経営している。だが、ジンバブエ国内のインターネット料金が急上昇したせいで1週間にわたりネットに接続できなくなり、ウエディングケーキやビジネスランチ、冷凍のカップケーキへの注文も途絶えてしまった。

ジンバブエ東部の都市ムタレにある自宅で、カプブムフティ氏は語る。「これまではオンラインで広告や販促活動を行い、週に少なくとも5件は顧客を獲得していた。だがインターネットなしでは、週に2件なら幸運な方だ」

結果として、現在では乏しい収入の多くをデータ通信料金に投じているという。当然、それ以外の基本的な出費、例えば家賃や2人の子どものための食費などを賄うのは難しくなっている。

ジンバブエの年間実質インフレ率は非公式の推定では約1000%。インターネットの料金も急上昇しており、基本的なサービスの利用や学習、あるいはカプブムフティ氏のようなオンライン事業やリモートワークにより生計を立てることがより困難になっている。

国内モバイル通信大手のエコネット・ワイヤレス・ジンバブエは、2023年10月にデータ通信料金を100%値上げした。現在は1ギガバイト(GB)当たり平均3.54ドル(約520円)だ。

モバイル通信事業者として国内2位の国営ネットワンも、やはり同じ比率でデータ通信料金を引き上げている。

カプブムフティ氏はスマートフォンの画面をスクロールしながら、「インターネットのデータ通信料金値上げは、私にとっては不意打ちだった。気がついたら接続が切れていた」と話す。顧客の大半はフェイスブックやTikTok(ティックトック)、ワッツアップ経由で、同氏が自宅を拠点として営んでいるサービスを見つけてくれた。

デジタル人権・反貧困活動団体は、昨年10月の値上げを受けて、政府や電気通信監督機関「ポトラズ」に対し、価格引き下げに向けた措置とデジタル格差拡大への対処を求めている。

デジタル人権の問題に取り組むノムピロ・シマンジェ弁護士は、「インターネット利用は生活に余裕のある少数のエリートだけに許されたぜいたくになってしまった」と語る。同弁護士は以前、非政府機関「南部アフリカメディア研究所(MISA)」のジンバブエ支部で働いていた。

シマンジェ弁護士は過去3年間でデータ通信コストが急激に上昇したことを指摘し、「今はデジタルの時代。一般の人たちは皆、日々の暮らしを送るためにネットを必要としている」と語った。

<高校生の学習にも支障>

ジンバブエのデータ通信コストは近隣諸国よりも高い。Cable.co.ukが発表した報告書「2023年世界モバイルデータ通信価格」によれば、1GB当たりで南アフリカの平均1.81ドル、マラウィの0.38ドル、モザンビークの0.78ドル、エスワティニの1.26ドルをはるかに上回っている。

為替レート絡みで実情が見えにくい中で、ポトラズはこの報告書の結論に反論し、ジンバブエにおける1GB当たり平均3.21ドルというデータ通信コストはアフリカ南部における平均を下回っていると主張している。

エコネットは昨年10月に料金を2倍に引き上げたが、そのわずか6カ月前の昨年4月にも値上げを行っていた。ジンバブエ・オンライン・コンテンツ・クリエイターズのトネオ・ルトシト会長によれば、この昨年4月の値上げにより、すでにインターネット利用は多くのジンバブエ国民にとって手の届かないものになっていた。

「値上げによって、コンテンツ制作者と消費者の双方にとってインターネット接続は困難になった。手を出せない料金になったからだ。これでは業界が滅びてしまう」とルトシト会長。同氏の団体では料金抑制を求めてポトラズと協議しているという。

ポトラズによる2023年の報告書では、それでなくともジンバブエのインターネット普及率は70.1%と、域内の他国に比べて低いとされている。南アフリカでは72.3%だ。

利用料金の高騰は、公務員の平均月給が約200ドルというジンバブエ国民の家計をさらに圧迫しており、それ以外の出費を削らざるをえなくなっている。

オンラインで生鮮野菜の小売事業を営むクダ・チスボ氏は、首都ハラレとその郊外の町に住む顧客からの注文が減少しており、原因はインターネット利用コストの上昇だと語る。

19歳の高校生タファズワ・チャイテズビさんも、自分のモバイル機器ではインターネットに接続できなくなった。ムタレ市内で働く父親からパスワードを教えてもらい、父親の職場の外に立ってWiFiに接続し、課題図書をダウンロードしてオフラインで読むようにしている。

「これまでは私のデータ通信料は父が払ってくれたが、料金が高くなりすぎて父にもその余裕がなくなった。授業のない週末はこのWiFiを使わせてもらっている」とチャイテズビさんは言う。将来は電気工学を学びたいという。

<ネット上でも抗議のハッシュタグ>

データ通信料金の値上げからまもなく、ネット上ではMISAジンバブエ支部の呼びかけにより、「#DataMustFallZW」(ジンバブエのデータ通信料金を引き下げろ)というハッシュタグが、ソーシャルメディアサイトでトレンド入りするようになった。

この運動は当初、ネットワンがデータ通信料金を500%以上引き上げた2022年に始まった。抗議の叫びにより、ネットワンは最終的に値上げを撤回せざるを得なくなった。

MISAジンバブエ支部でディレクターを務めるタバニ・モヨ氏はトムソン・ロイター財団に対し、「関係者に、これは間違っているという認識を与えた」と語り、インターネット接続事業者と監督当局には、低所得の人々でも利用できるような価格を策定する責任があると続けた。

ジンバブエの情報通信技術担当相のオフィスに複数回コメントを求めたが、回答は得られなかった。

エコネットにコメントを求めたところ、ポトラズによる声明を紹介された。最近の値上げは外貨建てのコストの上昇を反映したものだ、という内容だ。

ポトラズのギフト・マチェンゲテ長官は、値上げは「サービスの利用しやすさと事業者の存続可能性のバランスを考慮して実施された」と説明している。

当面の打開策が見えない状況で、チャイテズビさんは、しばらくは宿題を片付けるのに苦労しそうだと語る。

「ここのWiFiを借りて調べ物をするといっても、いつまで続けられるか心配だ。その場しのぎにすぎない」

(翻訳:エァクレーレン)

*一部サイトで写真が表示されなかったため再送します。

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