[ロンドン 3日 ロイター] - 自動車メーカーのBMWとステランティスは3日、今年に入り業界を悩ませている世界的な半導体不足が2021年以降も続き、生産と販売に打撃を与えると警告した。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)を受けて昨年に工場閉鎖を余儀なくされた自動車メーカーは、一連のサプライチェーンの混乱で、半導体の供給を巡り家電業界との厳しい競争に直面している。
欧米自動車大手ステランティスのリチャード・パーマー最高財務責任者(CFO)は、第4・四半期までに半導体の供給が改善するとは考えておらず、21年には合計で約140万台の生産減が見込まれると述べた。
ドイツの高級車メーカー、BMWはサプライヤーとの関係が強く、一部の同業他社と比べて半導体不足の影響をそれほど受けずにきたが、同社も下期にはより厳しい状況を見込んでいる。
BMWのニコラス・ペーターCFOは「供給面の制約が長期化すれば、状況が緊迫化する可能性が高まる。下期も生産が引き続き制限され、販売台数に影響が出る見込みだ」と述べた。
米テスラやフォード・モーターなど他の自動車メーカーもこれまでに、半導体不足が予見可能な将来にわたって生産ペースを鈍化させる主因になると警告している。
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は先週、「われわれはフルスピードで自動車を生産しているが、世界的な半導体不足の状況は、依然かなり深刻だ」と語った。
米ゼネラル・モーターズ(GM)は3日、半導体不足を理由に北米の複数の工場を来週閉鎖すると発表。状況は「複雑で非常に流動的」とした。
ドイツの半導体大手インフィニオン・テクノロジーズも3日、新型コロナ感染の流行でアジアの施設に混乱が生じており、在庫が過去最低水準に達しているとして、半導体の供給が極めてタイトになっていると表明した。
インフィニオンのラインハルト・プロスCEOは「世界の自動車市場の回復は、バリューチェーン全体にわたる深刻な供給制限によって引き続き妨げられている」と指摘。「全体的に見て、需給の均衡を取り戻すには時間を要する」とし、22年までかかるとの見解を示した。
また、自動車業界団体のフランス自動車工業会(CCFA)は1日、世界的な半導体不足と新型コロナの新規感染者増加により、国内の自動車市場の回復見通しに影響が及んでいるとの見方を示した。