■業績動向
(4) 2017年3月期業績見通し
デジタルアーツ (T:2326)の2017年3月期については、売上高が同15.0%増の4,600百万円、営業利益は同39.1%増の1,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同59.5%増の870百万円を目指す会社計画。
海外事業の先行投資負担450百万円が発生するものの、企業、公共向けの拡大による国内事業の好調でカバーし、2ケタ増収・増益を確保すると予想している。
同社では、売上高4,500百万円は「FinalCode」を除く既存製品の自然成長で達成できるとしており、残り100百万円を、a)大規模企業組織対応、b)自治体クラウド対応、c)「FinalCode」国内案件増、d)海外事業、e)コンサルティング事業の5つを中心とする重点施策による取り組みで達成する計画になっている。
5つの重点施策の内容は以下のとおり。
a)大規模企業組織対応 前期と同様に標的型攻撃対策として「ファイア・アイ」など他社製品との連携ソリューションを提供することにより大企業の新規開拓を進める。
b)自治体クラウド対応 総務省の「自治体におけるセキュリティ強靭化を図るための指針」※1への対応として、ヴイエムウェア株式会社※2などと営業連携することにより自治体のセキュリティ対策ニーズに対応する。
※1抜本的強化対策には、各市区町村のセキュリティ対策向上(「自治体情報システム強靭性向上モデル」)と、都道府県ごとにインターネット接続口を集約化し、監視機能を強化(「自治体情報セキュリティクラウド」)の2項目があり、これを利用し、セキュリティ向上させるものとしている。
※2コンピュータの仮想化用ソフトウェアを製造・販売する米国企業。
2004年1月にEMCコーポレーションに買収された。
c) FinalCode国内案件増 FinalCode国内案件増に対して1)大型案件を専門に対応するラージアカウント部隊新設により重点案件の受注支援、2)公共向けは自治体限定版の販売促進の徹底、3)既存パートナーによる拡販、を行う。
d)海外事業 米国ではパートナー開拓と育成によりローカル案件の積み上げを図るほか、アジアでは豪州・ニュージーランド地域の販売網の構築、流通業者の開拓を行うのに対して、欧州では人材の確保と組織体制の構築を最優先とする。
e)コンサルティング事業 今年4月に設立したデジタルアーツコンサルティングが開拓した顧客に同社製品の販売を行うとともに、同社ユーザーに対してコンサルティングを提供するルートを構築し、グループ全体のニーズに応える。
これらの重点施策に取り組むことにより売上高は企業向け、公共向けに加えて、海外市場の伸びを予想し、前期比で600百万円の増加を見込む。
一方、売上原価は開発における外注の活用等により同2.4%増の947百万円を見込んでいるが、減価償却負担の減少から売上総利益率は2.5ポイント改善となる79.4%を予想している。
一方、販管費は国内外での人員強化などにより、同8.9%増の2,252百万円を計画しているものの、売上高並みの伸びを見込まないため、販管費比率は2.7ポイント改善する見通し。
この結果、営業利益率は5.2ポイント上昇し30.4%と30%を超える予想となっている。
弊社では、1)同社の期初会社計画は保守的な数値となる傾向がある、2)企業向け市場では「FireEye」など他社製品との連携により大企業の開拓が順調に進んでいる、3)公共向けも2017年7月からのマイナンバーを活用したオンライン連携のネットワークシステムの稼働開始を控え、「VMware」など他社との連携ソリューションに対する自治体の需要は大きいと見込まれる、4)国内の「FinalCode」の受注は予算に対して2倍の案件を抱えている、5)海外も米国に加え、アジアでの立ち上がりが期待できる、などを考慮すると、会社計画は保守的で上振れ余地があると見る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
海外事業の先行投資負担450百万円が発生するものの、企業、公共向けの拡大による国内事業の好調でカバーし、2ケタ増収・増益を確保すると予想している。
同社では、売上高4,500百万円は「FinalCode」を除く既存製品の自然成長で達成できるとしており、残り100百万円を、a)大規模企業組織対応、b)自治体クラウド対応、c)「FinalCode」国内案件増、d)海外事業、e)コンサルティング事業の5つを中心とする重点施策による取り組みで達成する計画になっている。
5つの重点施策の内容は以下のとおり。
a)大規模企業組織対応 前期と同様に標的型攻撃対策として「ファイア・アイ」など他社製品との連携ソリューションを提供することにより大企業の新規開拓を進める。
b)自治体クラウド対応 総務省の「自治体におけるセキュリティ強靭化を図るための指針」※1への対応として、ヴイエムウェア株式会社※2などと営業連携することにより自治体のセキュリティ対策ニーズに対応する。
※1抜本的強化対策には、各市区町村のセキュリティ対策向上(「自治体情報システム強靭性向上モデル」)と、都道府県ごとにインターネット接続口を集約化し、監視機能を強化(「自治体情報セキュリティクラウド」)の2項目があり、これを利用し、セキュリティ向上させるものとしている。
※2コンピュータの仮想化用ソフトウェアを製造・販売する米国企業。
2004年1月にEMCコーポレーションに買収された。
c) FinalCode国内案件増 FinalCode国内案件増に対して1)大型案件を専門に対応するラージアカウント部隊新設により重点案件の受注支援、2)公共向けは自治体限定版の販売促進の徹底、3)既存パートナーによる拡販、を行う。
d)海外事業 米国ではパートナー開拓と育成によりローカル案件の積み上げを図るほか、アジアでは豪州・ニュージーランド地域の販売網の構築、流通業者の開拓を行うのに対して、欧州では人材の確保と組織体制の構築を最優先とする。
e)コンサルティング事業 今年4月に設立したデジタルアーツコンサルティングが開拓した顧客に同社製品の販売を行うとともに、同社ユーザーに対してコンサルティングを提供するルートを構築し、グループ全体のニーズに応える。
これらの重点施策に取り組むことにより売上高は企業向け、公共向けに加えて、海外市場の伸びを予想し、前期比で600百万円の増加を見込む。
一方、売上原価は開発における外注の活用等により同2.4%増の947百万円を見込んでいるが、減価償却負担の減少から売上総利益率は2.5ポイント改善となる79.4%を予想している。
一方、販管費は国内外での人員強化などにより、同8.9%増の2,252百万円を計画しているものの、売上高並みの伸びを見込まないため、販管費比率は2.7ポイント改善する見通し。
この結果、営業利益率は5.2ポイント上昇し30.4%と30%を超える予想となっている。
弊社では、1)同社の期初会社計画は保守的な数値となる傾向がある、2)企業向け市場では「FireEye」など他社製品との連携により大企業の開拓が順調に進んでいる、3)公共向けも2017年7月からのマイナンバーを活用したオンライン連携のネットワークシステムの稼働開始を控え、「VMware」など他社との連携ソリューションに対する自治体の需要は大きいと見込まれる、4)国内の「FinalCode」の受注は予算に対して2倍の案件を抱えている、5)海外も米国に加え、アジアでの立ち上がりが期待できる、などを考慮すると、会社計画は保守的で上振れ余地があると見る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )