米連邦準備制度理事会(FRB)は今週予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)で2008年以降11年ぶりの利下げに踏み切る可能性が強い。
FRBのイエレン前議長は28日にコロラド、アスペンで開催されたアスペン経済戦略グループ会合において、25ベーシスポイントの利下げを支持する考えを示した。
世界経済の弱さに加えて、米国のインフレも「低すぎる」と指摘した。
米国経済は引き続き強い成長を見せている。
6月の雇用統計では非農業部門雇用者数が予想外に20万人を超えた。
失業率も3.7%と50年ぶりの低水準近辺を維持。
小売売上高も予想を上回ったほか、消費が4−6月期の成長を押し上げ。
4−6月期国内総生産(GDP)は+2.1%と1−3月期の+3.1%から成長減速したものの、予想の+1.8%を上回った。
一方で、ドイツの7月製造業PMIは過去最低に落ち込み、テクニカルリセッション入りも警戒されている。
そんな中、イエレン議長は、「米国は島国ではなく、世界経済の一部である。
欧州、アジア、世界で起こっていることは米国経済に影響する」「米国の金融政策が世界に影響を与えるとの考えもただしい」と指摘した。
7月FOMCで保険的な利下げを実施後、FRBが利下げサイクル入りすると考えている市場関係者は少ない。
一方で、トランプ大統領はFOMCを控え、「欧州や中国は利下げや金融システムに資金を供給することで自国通貨を安くし、製品を海外に売却しやすくしている。
中国や欧州に比べてFRBは非常に小幅な利下げを行うようだ」「FRBは間違った動きをした。
小幅な利下げは不十分。
しかし、我々は結局勝つことになるだろう」「利上げペースが速すぎ、過剰だった」と、FRBに大幅な利下げを実施するように圧力をかけた。
クドロー国家経済会議(NEC)委員長は先週、「米政府はいかなる介入も為替介入も認めない」としていたが、トランプ大統領は29日記者団に、ドルに関して何かする可能性は除外しないとした。
貿易・通貨戦争のリスクは存続する。