[日本インタビュ新聞社] - いつものことながら、ゴールデンウイークは厄介である。新聞、テレビ、ネットでは交通機関やホテル、旅館の予約状況や観光地の賑わいを伝えているのにバカンス気分はいまひとつである。マーケットが生き物であるからだ。連休前と連休中、連休後で相場の流れが突如として変わるかも知れず、連休中はアクシデントにも対応不可である。投資セオリー通りに連休前にポジションを手仕舞い、後顧の憂いなくバカンスをエンジョイするのも有力だが、日経平均株価が、年初来高値を更新したばかりとなると、みすみす途中で強気相場を後にするのかと後ろ髪を引かれるように逡巡してしまう。
昨年のゴールデンウイークでも、前、中、後とFRB(米連邦準備制度理事会)の政策金利引き上げとウクライナ情勢の緊迫化などでマーケットが揺れ続けた。今年も、連休前の今週は米国の主力ハイテク株の決算発表が続き、連休の谷間の5月2日、3日にFRBがFOMC(公開市場委員会)を開催し、連休後の5月第2週の東京市場では、3月期決算会社の業績発表がピークを迎える。
なかでもこの決算発表は、米国市場でもFRBの政策金利引き上げよりも株価インパクトの大きいカタリスト(材料)とされているだけに、決算発表時の各社の業績ガイダンス(見通し)が、リスクにもチャンスにもなる二面性を併せ持ち注目が怠れない。米国では、リセンション(景気後退)入りが企業業績にカゲを落とすとしてネガティブに評価されるケースも目立った。業績ガイダンス・リスクである。
ところがである。東京市場では、逆のケースも目立った。業績ガイダンス・チャンスである。この代表例が、前週週初17日の急騰銘柄の続出である。DDホールディングス<3073>(東証プライム)とテラスカイ<3915>(東証プライム)が揃ってストップ高し、ドトール・日レスホールディングス<3087>(東証プライム)とバロックジャパンリミテッド<3548>(東証プライム)がともに大幅高して年初来高値を更新した。4社とも2月期決算会社で、今期の業績ガイダンスで営業利益が2倍~3倍増とV字回復すると見込んだことが、決算プレーのカタリストとなった。
投資アノマリーでは「水準より変化率」とされている。株価インパクトは、利益額の大小より利益の変化率の大小の方がより強いとする通説である。また「上がる株が優良株」ともいわれている。株価の上昇には銘柄の格やブランドは関係ないとする割り切りである。17日の4銘柄の株価急騰は、まさしくこの投資アノマリーの一端を垣間見せたことになる。
究極の業績高変化率銘柄といえば、黒字転換銘柄である。水面下の赤字業績が、水面上に黒字浮上し方向感がまったく変わるのだから、株価評価も一変するはずである。そこで今週の当特集では、今年1月以来、業績を上方修正して黒字転換した銘柄の決算発表日に注目し、その際の業績ガイダンスが、リスクではなくチャンスとなりそうな銘柄をスクリーニングすることとした。
例えばANAホールディングス<9202>(東証プライム)である。同社は、昨年10月、今年2月と目下集計中の2023年3月期業績を上方修正し黒字転換幅も拡大させたが、前週末21日に国際線旅客収入増と燃油市況の落ち着きを背景に3回目の業績上方修正を発表しており、今週27日に予定している3月期決算発表時の次期2024年3月期の業績ガイダンスの注目度が高まることになる。これを先取りする投資スタンスである。
これまで業績の上方修正で黒字転換した銘柄は、インバウンド関連株、リベンジ消費関連株、円安寄与や資材高・資材入手難が一巡したプラント関連株など多岐にわたるが、なかでも投資採算的にも割安水準にいる銘柄から優先することがベターとなりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)