[上海 11日 ロイター] - 中国の政府系シンクタンク、国家金融・発展実験室(NIFD)の幹部は、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大は同国の2020年国内総生産(GDP)成長率を最大で1%ポイント押し下げる可能性があるとの見方を示した。
NIFDの曾剛副主任は中国紙「21世紀経済報道」への寄稿で、新型ウイルスを2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)と比較し、「第1・四半期は同等の影響が見込まれる」と指摘。2003年は、中国の四半期の成長率が前期比約2%ポイント減速したことがあった。
通年では、コロナウイルス感染拡大による成長率の押し下げ効果は異なるシナリオに基づき、0.2─1%ポイントと予測されているとした。
同氏は、感染拡大防止に向けて当局がタイムリーかつ効果的な対応をとれば、長期的な成長トレンドに大きな影響は及ばないが、短期的には経済活動への影響は「無視できない」とし、第三次産業とキャッシュフローに余裕がない小規模企業が特に圧迫されていると述べた。
さらに、小規模企業の苦境が企業破綻の増加を招き、第1・四半期の失業率を悪化させる可能性があるとした。
「雇用の状況は楽観できない。これは『雇用第一』のマクロ政策目標に重大な課題をもたらすだろう」と論じた。
一方、シティのアナリストらはリポートで、一段と積極的な財政政策やさらなる金融緩和への期待はあるが、中国の経済成長率は大幅に鈍化すると予想。3月末までにウイルスが終息するとの前提で、第1・四半期のGDP成長率を3.6%に、通年の成長率は5.3%に、それぞれ下方修正した。従来の予想は第1・四半期が4.8%、通年は5.5%だった。
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