[ロンドン 11日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は11日、新型コロナウイルスの感染拡大が経済にもたらす影響は「甚大で急激」な可能性があり、今後数カ月で経済活動が著しく弱まるとの見込みを示した。
英中銀はこの日、緊急に政策金利を0.75%から0.25%に引き下げたと発表。新型コロナウイルス感染拡大により景気が脅かされていることに対処する。利下げは2016年8月以来初めて。
カーニー総裁は緊急利下げ後の会見で「イングランド銀行の役割は、甚大で急激だが一時的とみられる経済的ショックを英企業・家計が乗り越えるのを助けることだ」と述べた。
カーニー総裁は、新型ウイルスが英国経済に及ぼす影響の全体的な規模を判断するのは時期尚早だと指摘。英国がリセッション(景気後退)に陥る可能性についての質問に「いずれ事態は過ぎ去る。時間の経過とともにワクチンが開発され、感染拡大に歯止めがかかる」とした上で、リセッションに陥る見通しであるかどうか判断するのは「時期尚早」だと語った。
また、中銀が緊急利下げに動いた理由の1つとして小売売上高が落ち込んでいることに言及した。
「中銀のネットワークを通じて、あるいは企業から直接聞き取って集積した事例を見ると、特に小売りセクター、一般消費財の取引状況が過去1週間に急激に悪化している」と語った。さらに「それ以前にも、製造業部門で供給網の混乱が見られ始めていた」と述べた。
英中銀は利下げとともに銀行のカウンターシクリカル資本バッファー(CCyB、好況時に積み上げ不況時に取り崩し可能)の引き下げや中小企業向けの新たな資金調達スキームを導入。向こう12カ月、期間4年の資金を供給することで最大1900億ポンドの新規貸し出しを支援する意向を表明した。
カーニー総裁は今回の対策規模が国内総生産(GDP)の1%超に相当するとした上で、最大限の効果をもたらすため政府とも協力していくと述べた。また、うまく対処できれば08年の金融危機のような状況は避けられるとした。
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