[ロンドン 19日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会の次期委員に就任するキャサリン・マン氏は19日、景気刺激策を性急に縮小してはならないという考えを示し、高インフレへの対応を巡って中銀内の意見の相違が一層浮き彫りとなった。
ブリハ委員の後任として9月から政策委に加わるマン氏は、議員らに対し、最近のインフレ率の上昇が持続的なインフレスパイラルに陥るとは考えにくいと表明。「物価の上昇が継続するのか、それとも一過性にとどまるのか、あるいはスパイラルになっていくのか、評価の仕方は様々だが、スパイラルにはならないと思う」と語った。
2008─09年の世界金融危機の教訓として、原油価格の高騰や債務残高の増加に伴うインフレ懸念が生産の縮小を招き、若年層や貧困層の労働者を直撃したと指摘。「新型コロナウイルス禍ではこのような事態を繰り返してはならず、金融政策の引き締めを早まらないようにすることが肝要だ」と述べた。
マン氏の発言は、物価が上昇しても景気刺激策の縮小は正しい選択肢ではないとするハスケル委員の考えと重なる。一方、ラムスデン副総裁やソーンダーズ委員は先週、政策を引き締める時期が近づいている可能性を示唆したばかり。
これに先立ちマン氏は、世界経済が潜在的に脆弱であると表明。議会の財務委員会に提出した書面で「新型コロナウイルス禍からの回復は、世界の成長率が6%近くになるという予測に基づいて考えるよりも脆弱である」とした上で、「こうした脆弱性は、成長が回復する時期や規模が経済圏によって異なること、財政政策の縮小と都市封鎖(ロックダウン)の緩和に伴う支出の規模や部門間の回転に疑問があること、国内総生産(GDP)成長率や雇用の回復ペースが異なることなどに起因している」と分析した。