[ロンドン 5日 ロイター] - 欧州連合(EU)の投資家に株式・債券取引価格をほぼリアルタイムで伝えるシステムがあればEUの資本市場は改善する──。コンサルタント会社オリバー・ワイマンは5日、このような内容の研究報告書を公表した。
EUの欧州委員会はこれまで、域内の株式・債券取引の透明性を向上させるため、市場取引価格の「統合テープ(CT)」創設を求めざるを得ない可能性があるとしている。
欧州証券取引所連合(FESE)に提出された研究報告書によると、15分遅れの株式・債券・ETF(上場投資信託)取引価格テープは5000万ユーロ(5808万ドル)の費用で最良の利益をもたらすという。
米国とカナダの株式市場で長年採用されているテープは欧州で長年の目標となっており、欧州最大の金融センターである英国が昨年12月に離脱して以来、資本市場の深化を目指すEUにとって喫緊の課題となっている。
FESEのRainer Riess事務局長は発表文で「CTが有用となるためには投資家に市場活動の完全な概観を提供しなければならない」とした。
報告書は、CTはEUの証券監視当局であるESMAのような独立機関によって管理され、専門的な技術を駆使し、ユーザーやコントリビューターから助言を受けるべきとした。
またFESEは、「質の低い」市場データや、伝統的な取引所から離れた「有害となる闇の」取引が存続していることも完全な透明性の妨げになっているとした。
ESMAはこれまで、株式取引の50%が取引所以外で行われているとしているが、銀行はこの数字に異議を唱えている。
欧州委員会はこれまで、市場に変更を加える前に「めちゃくちゃな」市場データを検証すると約束している。
オリバー・ワイマンは、CTがいったん構築され、その利点が証明されれば、よりリアルタイムなサービスに向けて、遅延時間が徐々に減少していく可能性があるとしている。