[ワシントン 17日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)の財務相は、供給制約に起因するインフレ高進と地政学的リスクが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの世界的な景気回復に対する脅威との認識を示した。ロイターが声明の草案を入手した。
草案で「パンデミックの影響に対応するために利用可能なあらゆる手段を用いる」と確約。ただ、将来的な政策余地は「狭く、不均一」である可能性が高いと警告した。
さらに「われわれは世界のサプライチェーン(供給網)の耐性を引き続き強化する。これらの課題が経済に与える影響を引き続き警戒する」と指摘。「また『現在の』地政学的緊張やマクロ経済および金融の脆弱性から生じるものも含め主要なグローバルリスクを引き続き監視する」とした。
草案にはロシア・ウクライナ間の緊張に関する直接的な言及はない。「現在の」という文言はかっこ付きであるため、削除される可能性がある。ロシアはG20に加盟している。
草案では、インフレ率は現在、多くの国で高まっており、「供給面での混乱、需給のミスマッチ、エネルギー価格を含むコモディティー価格の上昇」でインフレが一部促進されていると分析。「中銀は政策スタンスを明確に伝えることにコミットしつつ、それぞれの責務に沿って物価の安定を確保するために必要な行動をとる」とし、中銀の独立性は信頼性確保に非常に重要だとした。
その上で「各国の状況を考慮しながら回復を支援するために調整・計画・伝達が十分な出口戦略」へのコミットを確認した。
<パンデミック基金と税制改革>
草案では、G20財務相は低・中所得国が新型コロナワクチンや治療薬、診断薬、その他の医療用品をタイムリーかつ手頃な価格で入手できるように支援すると表明。G20財務・保健合同タスクフォースに対し、パンデミック対策のための基金設立を巡り4月までに報告し、7月および10月にG20保健相と追加作業を行うよう求めた。
また、昨年合意された国際的な税制改革の実施に向けた規則などの策定に対するコミットを確認。貧困国向けのG20共通の債務再編の枠組みを巡っては「長期的な成功を確保するために一層取り組む」としたが、この文言もかっこ付きのため変更される可能性がある。
気候変動に関しては、温室効果ガス排出量の「ネットゼロ(実質ゼロ)」という目標達成には「適切であれば、炭素価格メカニズムやインセンティブの活用、無駄な消費を促す非効率な化石燃料補助金の中期的な廃止・合理化」など、あらゆる手段を含めるべきとした。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)については「波及効果や資本の移動を含む」金融システムへの影響をより理解するための研究を続けるとした。
G20財務相・中央銀行総裁会議は17─18日にインドネシアのジャカルタで開催され、声明は18日に採択される見込み。