[23日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は23日、米経済および労働情勢が堅調に推移する一方、インフレ率は過度に高水準にあるとし、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和解除を開始することは「適切」という見解を示した。
「インフレは高すぎ、政策金利は低すぎる」とし、米連邦準備理事会(FRB)が年内に少なくとも4回の利上げを実施すると予想した。その上で、4回以上となる公算も大きいと述べた。ロサンゼルス国際問題評議会主催のイベントで語った。
イベント後、利上げは「今よりも若干の緊急性」を持つことが重要と記者団に指摘。1回おきの会合で利上げしても「現状には不十分」との認識を示した。バランスシートの縮小開始を今年終盤に先送りするのも望ましくないとした。
消費者の需要が予想以上に落ち込んだり、サプライチェーン(供給網)が予想以上に早く回復したりしない限り、需要と供給を一致させるためには「少なくとも4回の利上げが私としては望ましいが、それ以上の利上げが必要になる可能性が高い」とした。
4回以上の利上げに言及することで、デイリー氏の姿勢が顕著にタカ派に傾いたことが示された。
総裁はまた、当面は25ベーシスポイント(bp)の利上げを想定しているが、将来的に50bpの利上げの検討が必要になるかもしれないと予想した。
経済の堅調さや雇用の増加ペースを踏まえると、金融状況は必要以上に緩和的だと説明。ウクライナとロシアを巡る地政学的状況で不透明感は高まっているが、状況が急激に悪化しない限り、FRBの利上げの想定が変わることはないと説明した。
初回の利上げ以降は「将来の金利とバランスシートの調整のペースと規模は経済動向と指標次第」と強調。新型コロナウイルスがパンデミック(世界的大流行)からエンデミック(一定地域で普段から継続的に発生する状態)への移行に加え、混乱するサプライチェーンや労働力人口の回復ペースなどに注目するとし、「これら全ての進展を注視し、指標に適切な政策の道筋を決定させる」と述べた。
さらに、FRBは2回目もしくは3回目の利上げ後にバランスシートの縮小に着手する必要があるという認識を示した。
「われわれは、この状況が永続的なスパイラルにならないようにコミットしていることを米国民に示す必要がある」と指摘。同時に、利上げはFRBがブレーキを踏むことを意味するのではなく、インフレを緩和させることで経済成長の継続を可能にするものだと説明した。
また、FRBのコミュニケーション能力や政策を巡る透明性がインフレ期待の抑制につながり、過去に実施されたような積極的な行動の必要性を低下させていると指摘。「透明性の向上や目標達成に向けた強いコミットメントによって高インフレや高水準の失業率が永久に続くことはないという安心感を米国民に与えている」と述べた。