[東京 9日 ロイター] - 鈴木俊一財務相は9日の参院予算委員会で、消費税について、社会保障費を支える重要な財源であることから、「引き下げることは考えていない」との見解を示した。喜多駿委員(維新)への答弁。
鈴木財務相は、消費税は、急速な高齢化などを背景に社会保障給付費が増加する中で社会保障の財源として位置付けられていると説明。「全世代型社会保障制度を支える重要な財源であることから、消費税を引き下げることは考えてない」と述べた。
政府・日銀の連携については、2013年の共同声明で日銀が2%の物価安定目標を自ら決定し金融緩和を推進するとしており、岸田内閣においてもこの考え方を再確認していると説明。その上で、日銀には引き続き経済・物価、金融情勢を踏まえつつ、「適切に金融政策運営を行われることを期待する」との見解を示した。
鈴木財務相は、金融機関の経営環境は「厳しいと認識している」とし、背景の一つに低金利環境の継続もあると考えられると指摘。ただ、金融機関の財務収益は、金融緩和のみならず人口減少や国内外の経済動向などさまざまな要因の影響を受けるとの考えも示した。
音喜多委員は、長引く超低金利により銀行が硬貨受け入れに手数料を取り始めたことで中小事業者などにしわ寄せが来ているとし、政府は支援を検討する必要があるのではないかと質問。鈴木財務相は、手数料に関して支援を行うことは金融機関の経営改善に向けた自助努力をゆがめ、健全な競争にも影響が生じる恐れがあるため「適当ではない」と述べた。
一方、松野博一官房長官は同委員会で、今年7月に任期満了を迎える日銀審議員2名の後任として、高田創氏・岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長と田村直樹氏・三井住友銀行上席顧問を充てる人事案について、人物本位で選考を行ったと説明。両氏とも「金融・経済分野で高い識見を有していることから、日本銀行審議員に相応しい人物であると考えている」と述べ、同意への理解を求めた。