(英文の訂正により、第5段落の「キプロス議会」を「ブルガリア議会」に訂正します)
[ブリュッセル 28日 ロイター] - 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は28日、EU各国政府に対し、加盟国が一定額の投資と引き換えに国籍を与える「ゴールデンパスポート」制度を終了するよう求めた。併せてロシア人とベラルーシ人へのビザ販売の停止も要請した。
EUが安全保障上のリスクと長年みなしてきた数十億ユーロ規模の市民権やビザ業界の縮小と規制を進めようとしている欧州議会の動きの一環。ロシアのウクライナ侵攻を巡るEUの制裁対象者がEUのゴールデンビザやパスポートを所持している可能性があるという懸念の中での動きとなる。
欧州委は28日、「制裁の対象となっている、あるいはウクライナでの戦争を顕著に支援しているロシアまたはベラルーシ国民の中には、これらの制度下でEU市民権を取得したり、シェンゲン協定が適用される地域内を自由に旅行したりできるなど、EUへの特権的なアクセスを得ている者がいる可能性がある」との声明を出した。
ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、EUはロシア大統領府を支持したとして700人近い主要な政治家や実業家、軍人をブラックリストに載せてきた。
また、欧州委はパスポートを販売する既存の国家プログラムを直ちに終了するよう求めた。現在、マルタとキプロス、ブルガリアだけがこうした制度を導入しており、いずれも廃止を表明している。ブルガリア議会は、この制度の終了を決議したばかりだ。
欧州委は、制裁対象者がゴールデンパスポートやビザを持っているかどうかを各国政府がチェックすべきとも指摘した。
欧州委は、制裁対象者がこうした制度の受益者かどうかは不明としている。報道官はビザやパスポート購入者のリストを提供するようEU諸国に求めたかどうかについて明言を避けた。
欧州委は、各国がこうしたパスポートを無効にするかどうかを決定し、居住許可を直ちに撤回するべきだと言及した。
EUの複数の国がゴールデンビザ制度を実施しており、ゴールデンパスポート制度も手掛けていた。
欧州委はゴールデンビザ制度の終了は求めなかったものの、厳格にチェックしてロシア人とベラルーシ人に対する居住許可証の交付を停止するようEU各国政府に要請した。