[シドニー 5日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は5日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の0.10%に据え置いた。ただ、金融引き締めに「忍耐強く」取り組むとしていた文言を削除し、2010年以来となる利上げに向けて一歩踏み出した。
インフレ率は加速し今後もさらに上昇する見込みだとし、失業率は4.0%へと想定よりも速いペースで低下したと指摘した。
ロウ総裁は「今後数カ月間に、インフレ率と労働コストに関する重要な追加情報が得られるだろう」とし、政策を決定する上でこうした情報を精査すると述べた。
市場は文言の変更を最終的な引き締めに向けた一歩と捉え、豪ドルは対米ドルで0.7%上昇、9カ月ぶり高値の0.7605米ドルを付けた。
アナリストは今回の会合で金利据え置きを予想していたが、一部では早ければ6月の利上げや、8月か9月と予想する見方が出ている。
GSFMインベストのストラテジスト、ステファン・ミラー氏は「『忍耐強く』削除は、他の先進国と同様、オーストラリアのインフレも程度や勢いの面で想定外の状況となっており、今後もそうなるであろうと認めたことになる。RBAはリセッションを引き起こしたり、高インフレが23年も続くのを容認することによってインフレ目標を達成するのは避けたいと考えている」と述べた。
27日に発表される消費者物価統計では、第1・四半期のコアインフレ率が前期比で1.0%かそれ以上となり、前年同期比では少なくとも3.2%に達する可能性があるとみられている。
コアインフレ率が前年比で中銀目標(2─3%)を上回るのは10年初頭以来。そうなれば、超低金利の継続を正当化するのは難しくなる。