[東京 15日 ロイター] - 財務省は15日、大手銀行や証券各社20社からなる国債市場特別参加者会合(PD懇)を開いた。8月に予定している物価連動国債の発行額を2500億円とする増額案を提示し、了承された。同省幹部が会合後に明らかにした。
物価連動債は物価指数に応じて元本が増減する。新型コロナ感染の影響に配慮して発行額を抑えてきたが、世界的な物価高に伴う先行きの需要回復を想定し、段階的な正常化に動き出す。2022年度国債発行計画では年4回の発行を想定し、1回あたりの発行予定額を2000億円(計8000億円)としていた。
物価連動債の発行について同省は「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に発行額を調整する」としている。年度内に予定する11月、23年2月の発行額については改めて協議する。
物価連動債は海外で先行して発行され、1981年に英国が導入。1997年には米国が続き、日本では2004年3月から発行を開始したが、デフレが長引き2008年10月以降の発行を取りやめた。
米国の例を参考にデフレ時の元本保証を付け、13年10月に発行を再開して以降は19年度に初めて発行残高が10兆円を超えた。ただ、海外に比べ発行残高や国債発行全体に占める割合は小さく、政府調達の多様化を図るうえでは投資家拡充などの課題が残る。